高校山岳部OB会のメンバーで泊まった休暇村「越前三国」は、広い芝生の庭のなかにあり、部屋からは松林越しに日本海が望める景勝の地に建っていた。越前蟹のシーズンは終わっていたが、新鮮な海の幸に舌鼓を打ち、部屋に戻ってからも遅くまで飲んで語るいつものパターンが続いた。日付が変わるまで飲み続けて酔いつぶれたり、暴れたりすることもあったが、最近は10時前にはそれぞれの部屋に戻っておとなしく寝るようになった。
夏のような暑さであったが、好天に恵まれて豪快な東尋坊の岩場や、松前船交易で栄えた三国湊の栄華のあとを郷土博物館で見物してきた。
帰途、敦賀の魚市場で新鮮なネタの鮨に舌鼓を打ち、お土産の海産物をどっさり買い込んで名古屋に向かった。
この会のメンバーは新制高校第1回卒業生を筆頭に、私の年次で廃部になるまでの部員で構成されているので、増えることも無く平均年齢も70歳を越して久しいが、年々高くなっていく。山へ登る人もほとんどいなくなった黄昏の会であるが、オールドアルピニストが飲んで語る話題は、山に始まって山で終わっていた。