私の住まいから大八賀川沿いの旧道を5キロほど下ったところに大島集落がある。
旧道沿いには、耕作されなくなった田畑が所々に残っているだけで、往来する人の姿を見かけることは無い。
上流にあるの3軒の家
「通行困難」と表示された砂利道を、ジグザグにしばらく下っていくと、山あいの僅かな平地を耕して、上流に3戸、下流に2戸の小さな集落に出る。
下流の2軒
平家の落ち武者が住み付いたと言われる集落には、1軒が2年前に町へ移住したので、今は4軒の家が田畑を耕しながら暮らしている。
冬は雪のため道路が閉鎖されてしまうので、5ヶ月間は町で暮らして、雪解けと共にここへ戻ってくる。
集落の人達とは付き合いがあって、時々訪れてはお茶を飲んで話などをしていた。
そのうちのお一人が85才で亡くなられ、明日49日の法要を営むということなのでお線香を上げてきた。
去年の秋の刈り入れまでは、元気に野良仕事に励んでおられたが、短期間の入院であっけなく逝かれたとのことだ。
囲炉裏端に当主が座っていた大きな家はそのままだったが、一人取り残されたおばあさんは、二人なら出来た事も一人では何も出来ないと嘆いておられた。
田んぼは雑草が生えたままで、家の近くの畑だけを守っているが、過疎の山村で急に一人になった寂しさは、いかばかりかと胸が痛んだ。