名古屋・名駅街暮らし

足の向くまま気の向くままに、季節の移ろいや暮らしのあれこれを綴ります。

境界争いの山、白木峰

2009年05月27日 | セカンドルーム

 小白木峰から白木峰を望む

昨日登った白木峰(1.596m)は、岐阜と富山の県境の山であるが、風の盆で有名な八尾町からは山頂近くまで車で行けるので、富山側から登る人が多い。
飛騨からはアプローチは長いが、万波平の渓流やシラカバ林、小白木峰あたり迄のブナ林など見所は多い。
岐阜、富山とも近年まで大規模伐採が進んで、巨木の繁る原生林の面影は無かった。

 
それでも岐阜県側は皆伐を免れたブナの森が残り、新緑の今は萌える若葉を縫って楽しく歩ける。

 
山頂はなだらかで広く、木道をたどって池塘めぐりも楽しめる。
周りを遮るものが無いので眺望も素晴らしく、剱・立山、槍・穂高、御岳、乗鞍岳など360度の大パノラマが堪能できた。
その日は、もやが掛かっていて鮮明に見えなかったが、天気が好ければ日本海や富士山、白馬岳まで見れるという。
楢峠から小白木峰~白木峰に至る稜線は戦国時代から、飛騨越中の国境紛争の場であった。
幾たびもの争いの末、ようやく昭和45年に両県関係者立会いのもとに境界線が引かれた。飛騨万波には、かつて加賀藩の隠し金山があったといわれ、最近まで人も住んでいたが、厳しい自然環境に耐えられず集団離村で集落は消滅している。
木材を板や柱に加工したものや、ブナを白木と呼んでいたので、山名の由来は白木峰周辺が木材の宝庫であった事から来ているようだ。
宝の山の境界争いは熾烈を極めたが、静かな山域からは僅かな痕跡すら見当たらない。
山頂でゆっくり景色を楽しみ、池塘めぐりをし、同じルートをたどって万波平の登山口まで戻ってきた。

 
一度は無人の原野に戻った万波は、農地開発によって高原野菜やそばの栽培が行われるようになった。
高冷地の農作業はまだ始まっていなかったが、牧草が風にはためいて緑の波を打っていた。
久し振りにゆったりとした気分で新緑の山を堪能し、遠い昔の人が行き来した頃に思いを馳せながら、歴史に翻弄された山域を後にした。

コメント (2)
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