飛騨地方は地形が複雑で天気予報が難しいと言われている。
西は白山を盟主とする両白山地が連なり、東は槍・穂高など3.000m級の山々が壁のように立ちはだかっている。
その間に広がる飛騨高地も、深い渓谷や河岸段丘、小盆地などが入り組み、谷や尾根を一つ越えただけで天気ががらっと変わる。
特に冬は、鉛色の空に覆われた日本海側の湿った空気と、青空が広がる太平洋側の乾いた空気が飛騨上空でせめぎ合い、いっそう変わりやすい天気にしている。
高山の天気予報は、市街地にある観測地点を基準にしている。
そこから10数キロ離れた集落に住んでいるが、気温は3~4℃は低いし、大雪の中を長靴履いて町へ出かけたら晴れていたりすることは度々ある。
今日も雪の舞う高山を出て名古屋に向かったが、いつもながらの天気の変化には驚かされる。
飛騨と美濃を結ぶせせらぎ街道の西ウレ峠は分水嶺になっているが、天気も境目になっているようだ。
峠で小休止したが、ユキは勢いよく頭ラッセルで進んでいったが、帰りは要領よく飼い主の踏み跡を辿って行った。
峠から南下して、美濃との境にある坂本峠(トンネル)に近づくと、路面の雪もまばらになり、路肩の積雪も少ない。
郡上八幡に入ると、日陰以外に雪はなく、青空が広がっていた。
郡上八幡ICから東海北陸道に入ったが、路面も乾き走りやすかった。
夕暮れ時の名古屋の町は快晴で、空気が澄んだ冬の空は、なんとなく暖かく感じた。