名古屋・名駅街暮らし

足の向くまま気の向くままに、季節の移ろいや暮らしのあれこれを綴ります。

名古屋ボストン美術館で「日本美術の至宝」展を見てきた

2012年07月17日 | セカンドルーム

 

東海地方も梅雨が明けて朝から青空が広がり、気温が急上昇していく。
今年一番の気温を記録した猛暑日の街は、人通りも少なくみな暑さに喘いでいた。

もとジャーナリストで美術に精通した友人から、「明治時代などにアメリカに流れた国宝級の美術品で、アメリカのボストン美術館へ出かけても、一度にこれだけ見るのは難しい。我々の年齢では、これらの作品を見られるのは最初で最後だ。」の惹句が効き他の予定を変えて飛びついた。


今日は休館日であるが、ある企業の招待客のみが特別に鑑賞できるとのことだ。
そのせいか、フェノロサや岡倉天心らが収集したコレクションから選りすぐった名品を、比較的静かな雰囲気で鑑賞することが出来た。
明治維新以降に、浮世絵をはじめ多くの美術品が、外国人の目利きによって大量に買われ、海外へ流出したと言われている。
国宝級の美術品が流出したのは残念なことであるが、襖の下張りにされたり、廃仏毀釈で貴重な仏像や仏画が廃棄焼却から救い、再びこうして日の目を見ることが出来たのは、岡倉天心たちの先見の明かもしれない。
先の戦争でも多くの美術品が焼失している中で、10万点を超える幻の国宝がボストン美術館に所蔵されている事に、複雑な感慨を覚える。


テーマごとに展示されているが、海を渡った二大絵巻の「平治物語絵巻」は、平治の乱が生々しく詳細に描かれ、合戦絵巻の最高傑作といわれるだけに見ごたえがあった。
吉備大臣入唐絵巻は、遣唐使・吉備真備の活躍がユーモラスに描かれ、絵本を見るような楽しさが伝わってくる。 


華ひらく近世絵画のコーナーでは、長谷川等伯の「龍虎図屏風」が個性的な筆致で印象に残った。


奇才・曽我蕭白コーナーの「雲龍図」は、巨大な襖から剥がされた状態で保管されてきたが、修復作業が終わって初公開となった。
伝来は定かでないが、どこかの寺院の襖と推察されているところが謎めいて興味をかき立てる作品であった。
以上の作品が特に印象に残ったが、後期開催(9.20~12.9)の展示リストには、平安・鎌倉時代の仏像や仏画が載っていたので見逃せない。
空調がよく効いた美術館でのひと時で心身ともにリフレッシュが出来て、明日からの野良仕事の活力源ともなった。

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする