雨上がりの朝はいつものような冷え込みはなかった。
前線の停滞で天気はすっきりせず、周りの山はガスに包まれて薄暗い。
午後になっても、気温は朝のままで一日中肌寒かった。
こんな日は野良仕事をする人の姿もなく、集落は眠ったように静かだ。
半月ぶりの雨で、十数本のナメコのホダ木から、小さな芽がたくさん出てきた。
先日僅かばかりの走り子を収穫したが、これからの冷え込みでどんどん出てきそうだ。
秋雨は好きではないが、きのこにとっては恵みの雨となった。
イノシシに荒らされて放置したままの畑の後片付けをしていて、かぼちゃの蔓を手繰り寄せていたら、大中小のかぼちゃが草むらから出てきた。
イノシシのおこぼれを貰ったようで、単純には喜べないが予期せぬ収穫でちょっと嬉しい。
ササゲも花を付けなくなったので、片付けていたら葉っぱの陰でたくさんの実が生っていた。
独特の黒い縞模様は火を通すと消えて、鮮やかな緑色になる。
アキシマササゲは、秋に取れる縞模様のササゲから名づけられ、へちま型の宿儺(すくな)かぼちゃと並ぶ飛騨特産野菜の一つである。
放置していた畑から思わぬ棚ぼた野菜のプレゼントで、名古屋へのいいお土産が出来た。