柔らかい春の陽射しを浴びながら、
牧野が池緑地を歩いてきた。
雨上がりの竹林は、光が交差して、様々な空気感が伝わってくる。
時には、幻想的なもの思いの世界にも誘ってくれる。
むかし、疎開していた農家の裏は広い竹林で、
風の夜は葉や幹が擦れ合う音が不気味だった事を思い出したりする。
あまり良い思い出はなかったが、筍を食べたり、
竹馬や弓矢を作って遊んだことが懐かしい。
田舎の原風景に竹林は欠かせなく、生活道具のザルやカゴ、
竹竿、竹皮、竹垣などは、どこでも目にすることが出来た。
今はプラスチックなどの新素材に代わり、
竹も見捨てられ、荒廃した竹林が問題になっている。
雑木林も芽吹きが始まり、フサアカシアは萌黄色に輝いていた。
ヤマザクラは新芽が大きく膨らみ、ソメイヨシノは
蕾がピンクに膨らんでいた。
牧野が池緑地の春が、一歩進んでいた。