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南に巨大な塔が建ち
東に貞M
北はグレイで空っていますし
西の路の先の方には
女たちが集っている
本棚には真新しい本が並んで
どんなだろうと
手にとって
「夢のニーチェ」という
青と白の装丁の
本にひかれて
「お借りしても良いですか」
と問うてみると
主人は
「良いですよ」
と言う
「夢のニーチェ」の
夢から醒めて
主人は歳をとっても
明晰であったと
朝の支度のただ中で
思っていた
黒い服の女が
南へ向かった
ちゃんと生きている人に会うのは
喜びだ
「さっき集団で行った人たちを知りませんか」
と女が言う
行き先を知らせると
「ありがとう、遅刻しちゃって」
と言う
「ありがとう」が様になっていた
「ありがとう」が様になるまでの
人生のことは
誰にも知らせず
女は行き先を急ぎ
先人を
探して
姿を消した
性善説と性悪説が
未だピンとこない
考えることさえしたくない
シジミチョウ
舞う
おじいさんは
青い表紙の
古典と書かれた本を持って
南へ向かった
すずめ十一羽
電線に並んで
雨
来た
ぽつぽつ11:40
それにしても
いたるところから匂う
キンモクセイの
仕業