kotoba日記                     小久保圭介

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ミギちゃんは鳴る

2013年11月06日 | 生活


ミギちゃんは
目尻にしわを作って
よく笑う
それも声に出して

ミギちゃんと
坂をのぼって
坂をくだって
暗くなった道を
帰ってゆく
「歩くの速いね」
僕が言う
「これでも遅く歩いてる」
ミギちゃんは
目尻にしわを作って
声に出して
笑う
「ははは」

正確に発音するし
「ははは」

三回の「は」なのだ
それがミギちゃんの
笑い声であり
それ以外はない

ミギちゃんは
何かをしゃべり終え
「ははは」
と笑う
僕が何かをしゃべると
「ははは」
と笑う
目尻にしわを作って

笑うことが
息をするみたいに
当たり前になっている
本当に面白いのかな
と思うのだ
本当に
面白いのだろうと思う

そんなミギちゃんと
帰路を急ぐ
道案内の目印を
ふり返って
知らせてくれる


ここは山だった
僕らは
以前
この山に生息していただろう
動物たちのことを
想像さえできずにいる

冬になる前の
夜空の下を
ミギちゃんの
音声が鳴る
「ははは」
と三回
鳴る


昼間
亀と
水鳥を
見た
陽光が作る
たくさんの影も見た

僕たちは
みんな山の中にいた
小動物のように
あちこちに
散る

池のある公園
てんでばらばらに座り
石に座り
椅子に座り
木の根本に座る

ここは
良い場所

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