
白いカーディガンの人が
茶のジャケットの人の肩に
手を置いて
南へ
ゆっくり
一歩ずつ
向かっていた
木の枝は
顔に当たるだけの
低さまで
垂れてはおらず
道先の
段差を
確認しながら
二人は並んで
歩いてゆく
立ち止まり
話し
訊き
また歩く
ビルのまわりに
植えられている
木
その脇を
彼女たちは
過ぎてゆく
一歩一歩
前に出て
大通りまで
おそらく
ビル一周をしている
ビルから出て
地下鉄に向かうまでの
道程を分割して
今日は
ここから
ここまで
歩いてみる
話しながら
訊きながら
右肩の生地の感触は
どんなだろう
手を置いていると
次第に
体温が伝わってくるのだろうか
右肩の手の感触は
どんなだろう
手は温かいのだろうか
冷たいのだろうか
生地の上から
次第に
体温が伝わってくるのだろうか
ゆっくりと
歩いてゆく
前進などしていない
暮らすために
歩いているのだ
そして
彼女たちは
大通りを
西に向かった