政府、与党が、中小企業の経営を親族や従業員が受け継ぐ際の相続税負担などを軽くする「事業承継税制」を2018年度税制改正で拡充する方向で調整していることが11月4日分かった。
後継の経営者に義務付ける雇用維持の要件を緩和して使いやすくし、税優遇の水準自体も引き上げる。
地域経済を支える中小企業が後継ぎ不在のまま廃業に追い込まれるのを防ぐのが狙い。
今後10年間を事業承継の集中実施期間と位置付け、予算面などの支援と合わせ代替わりを後押しする。
現在は、非上場会社の先代経営者から譲り受けた株式の8割にかかる相続税の支払いが猶予される。
議決権ベースで発行済み株式総数の3分の2までが対象だ。
だが「5年間の平均で8割以上の雇用を維持する」といった適用要件があり、いったん猶予されても途中で守れなくなれば全額納付を迫られるリスクがあるため、活用が進んでいなかった。
今回の改正では、人手不足を省力化投資で補った結果として雇用が減った企業なども納税猶予を受けられるよう、雇用要件を時限的に緩める。
納税を猶予する株数の拡大も検討。
制度を悪用した税逃れを防ぐため、利用実態をしっかり把握できる仕組みを作る。
また、親族や従業員の中に後継者が見当たらず、第三者が買収して事業を継続する場合の税負担も軽減する方向だ。
中小企業経営者の高齢化は深刻で、経済産業省によると2025年には70歳以上の人が約245万人になる見込み。
このうち、ほぼ半分は後継者が決まっていないとみられる。
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