政府は、結婚・子育ての資金を一括で贈与すると贈与税が1千万円まで非課税となる特例について廃止する方針であることが11月30日、分かった。
利用が低調な上、世代を超えて格差を固定化しかねないと判断した。
今後、与党の税制調査会が2025年度税制改正に向けて議論する。
この制度は第2次安倍政権下で、少子化対策や地方創生の一環として鳴り物入りで始まった。
若年層の経済的な負担を軽減し、結婚や出産を後押しする狙いだった。
だが、最大1千万円というまとまった資金を贈与できる人が限られる上、知名度が上がらなかったことから不発に終わりそうだ。
ただ税調の議論で子育て対策として継続を求める声が強まれば、延長を検討する可能性もある。
制度は祖父母や親が、孫や子らのために銀行などの金融機関に最大1千万円までを預ける。
結婚・や子育てのために資金が必要になった場合、孫や子がお金を引き出す。
不妊治療、家賃や引っ越し代も対象で、結婚式代は最大300万円まで非課税となる仕組み。
お金の引き出しには領収書が必要となる。
対象の子や孫の年齢は18~49歳で、子や孫の年間所得が1千万円を超える場合は利用を認めない。
2015年度に制度創設後、利用者が少ないとして廃止が検討されてきた。
だが与党内では、子育て支援策として存続が必要との声が根強く、2023年度税制改正大綱で2年間の適用延長を実施。
2025年3月末が非課税期間の期限となっている。
信託協会によると、2023年度の契約数は196件で8億円だった。
贈与は年間110万円以下なら税金はかからない。
今回の廃止方針は、教育費の無償化など子育てにお金がかからない制度への移行を目指していることも背景にある。
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