政府、与党が所得税の負担を軽くする「扶養控除」を巡り、高校生のいる子育て世帯の控除額の縮小を検討していることが11月3日、複数の関係者への取材で分かった。
政府が少子化対策で児童手当の支給対象を高校生に拡充することに伴い、与党の税制調査会が年末の2024年度税制改正作業で見直しを議論する。
控除は廃止も取り沙汰されていたが、幅広い層の負担が増すことへの批判をかわすため、回避する方向だ。
児童手当拡充は手取り収入の増加に、扶養控除縮小は減少につながる。
制度設計次第では差し引きで実質的な負担増となる人も出てくるため、縮小幅が注目されそうだ。
与党税調は、経済対策の目玉となった所得税、住民税の定額減税の仕組みを含め、連休明けから議論を本格化させる。
減税は首相官邸主導で大枠が決まり、期間や所得制限の有無が残された焦点だ。
現行制度では、納税者が16~18歳の子どもを扶養している場合、所得税だと年収から38万円を差し引いて課税所得を計算することで納税額を少なくできる。
今回、政府と与党は控除額の減額を検討している。
中学生までの世代に加え、新たに16~18歳にも2024年12月から原則月1万円の児童手当を支給することや、高所得者への制限をなくすことなどを今年6月に決めたためだ。
既存の児童手当の対象年齢に当たる0~15歳向けの扶養控除は過去に廃止したため、今回の児童手当拡充でも、政府は16~18歳向け扶養控除との「関係を整理する」と少子化対策の方針で表明。
廃止も選択肢となっていた。
増税イメージ払拭も狙い所得税、住民税の減税を打ち出したばかりの岸田文雄首相は、10月の国会答弁で「廃止を前提とした議論を検討している事実はない」と強調していた。
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