ふるさと納税の2023年度の寄付総額が1兆円を突破した。
地域を応援するという趣旨で2008年度に始まり、好みの返礼品を選べる仲介サイトの普及もあって寄付が急増。
被災地を応援するといった使い方もある。
ただネットショツピング感覚での利用により、人気の特産物などがある一部の自治体に寄付が集中。
自治体間の格差解消が課題となっている。
「ここまで利用が広がるとは思っていなかった」。
総務省幹部は1兆円突破に驚きを隠さない。
政府の理念は、納税者が故郷やお世話になった地域などを寄付先に選んでその使われ方に関心を持ち、自治体では選ばれるまちづくりの意識醸成を通じて地域活性化につなげるIというものだ。
大手仲介業者トラストバンクが今月実施した調査によると、寄付を通じ「知らなかった自治体を知った経験」が「ある」と答えた人は72・2%に上った。
「特定の地域のファンになった経験」が「ある」は52・7%だった。
能登半島地震では、被災地を支援しようと、返礼品を受け取らない寄付も広かった。
仲介サイトでは、被災者を励まそうとする寄付者のコメントも掲載。
返礼品なしで、前年度の約10倍に当たる約14億7千万円が集まった石川県珠洲市の担当者は「非常にありがたい。 復旧復興に役立てたい」と話す。
利用が拡大する中で、理念との乖離も目立つようになった。
制度は、地方に寄付が回っていくことで、都市部との税収格差を是正する目的もあった。
実際、横浜市、名古屋市など大都市の税収減は大きく、不満が高まっている。
ただ、地方に恩恵が広く行き渡ったわけでもない。
2022年度の寄付額全体の6割が上位1割の自治体に集中。
和牛や海産物といった人気の返礼品の有無が左右する。
多額の寄付を集める自治体が、子育て支援などを充実させて周囲から移住者を吸い寄せているとも指摘される。
政府関係者は「地方の自治体間でも勝ち負けが鮮明になっている。 不満をため込む地域は少なくない」と説明。
格差是正の役割は果たし切れていないと認める。
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