政府は7月17日、65歳以降に働くと賃金に応じて厚生年金の受給額が減る「在職老齢年金制度」を見直す方向で検討に入った。
高齢者の就労を促す狙い。
制度の縮小や廃止を視野に入れ、年末までに結論を出す。
中長期の高齢化対策の指針となる「高齢社会対策大綱」の改定に向けて話し合う有識者会議が同日、報告書素案で見直しを求めた。
働きながら年金を受給する65歳以上の高齢者は約308万人(2022年度末時点)に上る。
賃金と厚生年金の合計が月50万円を超えた場合、在職老齢年金制度に基づき年金額が減らされ、就労意欲を阻害しているとの声があった。
制度の縮小や廃止により現在の高齢者の年金額は充実する半面、年金財政が厳しくなり、将来世代が受け取る年金水準は低下するため、反発が出る可能性もある。
報告書素案では「65歳以上の就業者数は20年連続で前年を上回って過去最高となり、就業意欲の高まりも見られている」と説明。
在職老齢年金制度は就労意欲への影響が指摘されているとして「見直しを進めることが必要」と明記した。
このほか報告書素案では、未婚化が進み身寄りがない単身高齢者の増加が懸念されると分析。
介護施設や病院に入所・入院する際、身元保証を受けやすくなるよう支援を充実すべきだと強調した。
身近な相談先となる民生委員の担い手不足に対応するため、担当する市町村に住んでいる人しか委員になることができないとする要件の緩和を進めるべきだとした。
介護人材の確保に向け、一層の処遇改善と必要財源の確保を検討するよう求めた。
有識者会議は8月にも開かれる次回会合で報告書をまとめる。
政府は夏をめどに大綱の改定を閣議決定する。
改定は6年ぶりとなる。
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