東京電力福島第1原発処理水の海洋放出に反発する中国当局が、日本から入港した貨物船が船体を安定させる目的で積む「バラスト水」と呼ばれる海水を採取するなどして調べていることが9月14日分かった。
複数の主要港で海洋放出の前後に始まっており、放射性物質の検査が目的とみられる。
中国は処理水の影響を分析する国際枠組みに参加しておらず、独自に監視する構えだ。
複数の通商筋が明らかにした。
海洋放出の開始から9月14日で3週間。
中国は処理水を「核汚染水」と呼び、海洋放出の即時停止を求めている。
放出計画を「国際的な安全基準に合致する」と評価した国際原子力機関(IAEA)にも不信感を強め、福島沖で採取した海水のモニタリング結果を分析・評価するIAEAの国際枠組みに加わっていない。
海運業界の関係者らによると、北京に近い天津港では、地元の海事局が日本から入港した貨物船から日本領海で積み込まれたバラスト水を抜き取り、放射性物質の検査を実施しているという。
貨物船は積み荷を船内に運び込む際にバラスト水を船外に排出するが、海事局は放射性物質が基準値を超えた場合はバラスト水の排出を禁じると通告している。
これまで放射性物質が基準値を超えた例はないもようだ。
中国はバラスト水の検査実施を公表しておらず、文書などによる通知も確認されていないが、天津のほか山東省など複数の貿易港で行われているという。
バラスト水の検査は、処理水の海洋放出を前に日本産水産物への全面的な放射性物質検査が始まった7月初旬以降に始まったとされる。
貿易手続きや貨物輸送に大きな支障は出ておらず、日本政府は情報収集を続けている。
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