認知症などで判断能力が十分でない人の財産管理を行う成年後見制度で、後見人を務めた弁護士や司法書士ら「専門職」による財産の着服といった不正が、昨年1年間に37件(被害総額約1億1千万円)確認され、件数としては過去最悪だったことが4月13日、最高裁の調査で分かった。
後見人全体の不正件数は、2010年の調査開始以降初めて前年を下回った。
高齢者社会に対応するため、制度の利用促進を目指した法律が今国会で成立。
弁護士会などの団体は不正防止への対策強化がいっそう求められそうだ。
調査は、後見人が高齢者らの預貯金を着服する事件が相次いだため、最高裁が2010年6月に始めた。
親族らを含めた成年後見人全体の不正は、2011年311件(同33億4千万円)、2012年624件(同48億1千万円)、2013年662件(同44億9千万円)、2014年831件(同56億7千万円)と増え続けていたが、昨年は521件(同29億7千万円)と減少に転じた。
このうち専門職は、2011年6件(同1億3千万円)、2012年18件(同3億1千万円)、2013年14件(同9千万円)、2014年22件(同5億6千万円)だったが、昨年は37件(同1億1千万円)で、件数では過去最多となった。
後見人に占める専門職の割合は年々増えており、2012年に初めて5割を超え、2014年には65%近くになった。
専門職で最も多く選任されたのは司法書士で全体の25.5%。弁護士は20.4%、社会福祉士は9.9%。
不正を防ぐため、普段使わないお金を信託銀行に預け、家裁の指示なしではまとまった額の払い戻しが受けられない「後見制度支援信託制度」が2012年にスタート。
利用件数は右肩上がりで、昨年1~10月で5274件と、前年1年間の2754件を大きく上回った。
成年後見制度の利用促進法は不正を防ぐため家裁や関係機関による監督体制の強化を進めるとしている。
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