妊娠中に胎児の染色体や遺伝子に異常があるかを調べる出生前診断について、日本産科婦人科学会(日産婦)は新型出生前診断(NIPT)以外の羊水検査など従来ある検査についても登録制にして、実施する医療機関を把握する方針を固めた。
異常が判明した際に夫婦らは中絶などの重い選択を迫られるが、NIPTのように事前に適切なカウンセリングをせず検査を行う施設も多いため。
胎児の遺伝情報の扱いを把握する上でも登録制が必要と判断した。
国内では羊水検査や絨毛検査、母体血清マーカー検査などの出生前診断が行われている。
羊水検査は1970年代に広がった。
ほぼ100%の精度があり、異常を示す陽性が出れば中絶することが多い。
腹部に針を刺し羊水を取り出すため、流産の恐れもある。
1990年代に登場した母体血清マーカー検査は約8割の精度だが、妊婦の採血だけという手軽さと割安な料金で人気がある。
試料の分析は海外の業者に依頼するケースが多く、胎児の遺伝情報の取り扱いも分かっていない。
研究者らの推計では、主要な医療機関で2016年に羊水検査は約2万件、血清マーカーは約3万6000件実施されたとされるが、実施施設数や件数は正確には把握されていない。
日産婦は公表している見解(指針)の中で、遺伝の専門家によるカウンセリングなどを求めてきたが、実施状況や検査に伴う中絶件数は不明だ。
一方、妊婦の血液から高い精度で検査できるNIPTは、5年前から実施する施設を認定・登録し、カウンセリングを義務付けている。
日産婦はNIPTの施設要件などを緩和し実施施設を増やす方針で、これに合わせ従来の出生前診断も登録制にすべきだとの意見が医療現場から出ていた。
厚生労働省の研究班が登録システムの開発を進めており、日産婦は専門の委員会で登録を義務付ける検査の種類や登録漏れを防ぐ方法など制度の詳細を詰め、見解を見直す。
カウンセリングの新たな手引書の作成なども検討する方針だ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます