政府は、正常分娩での出産費用に2026年度から公的医療保険を適用し、自己負担を求めない方向で検討に入った。
病気やけがの保険診療では医療費の1~3割が患者の自己負担となるが、出産費用には別の枠組みを設けて「自己負担なし」とする案が浮上している。
経済的な負担を軽減し、少子化対策につなげたい考え。
厚生労働省とこども家庭庁が有識者会議を来月にも新設し、保険適用の対象とする正常分娩の範囲などの議論を本格化させる。
関係者が5月21日、明らかにした。
正常分娩による出産費用は現在は保険が適用されず、医療機関ごとに価格を自由に設定でき、全国平均は約50万3千円(2023年5月時点)。
地域差が大きく、都道府県別の政府集計(2022年度)によると、最高の東京と最低の熊本との間で20万円を超えた。
公的医療保険が適用されれば全国一律の公定価格となり、正常分娩のサービスの質も確保されるメリットがある。
政府は子どもを産んだ人に「出産育児一時金」50万円を支給している。
保険適用が実現すれば、50万円を超える部分の出産費用の自己負担が軽くなる可能性がある。
保険適用に伴い一時金の支給はなくなるとみられる。
一方、出産費用が一時金より安い場合は差額を受け取れなくなる懸念もある。
正常分娩のうち、麻酔で痛みを和らげる「無痛分娩」や、個室での入院などが保険適用の対象外と分類された場合は自己負担が生じることになりそうだ。
現在、帝王切開などによる出産には保険が適用されている。
政府は正常分娩について2026年度から保険を適用する方向で検討を進めている。
有識者会議では、医療機関ごとに異なっている正常分娩の処置方法の範囲について議論し、全国一律の価格をどのように設定するかが焦点となる。
価格は医療機関の収入に直結するため調整が難航する可能性もある。
有識者会議は、医療機関や健康保険組合の関係者、妊婦や子育て世代の代表者らで構成する。
政府は結論を踏まえ、関係法令の改正を目指す。
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