所得が低い世帯の子どもは、乳児期に体重が増えないまま成長する発育不全のリスクが高所得世帯の約1.3倍になることが6月17日、北里大などの調査で分かった。
調査した研究者は、経済的な理由で保護者が十分な食事を用意できなかったり、仕事の忙しさなどから育児放棄(ネグレクト)をして栄養が不足したりしていることが背景にあるとみており、早い段階からの支援や介入が欠かせないと提起している。
子どもの貧困が問題となる中、生後間もない乳児を分析した研究は日本では珍しいという。
調査は、2001年生まれと、2010年生まれの子どもを追跡調査している厚生労働省の「21世紀出生児縦断調査」のデータを活用。
低出生体重児などを除いた乳児計約5万5800人を分析し、1歳半になるまでに月齢に応じた標準的な発育をしておらず、体重が十分に増えていない乳児の割合と、親の所得との相関関係を調べた。
その結果、2001年生まれでは、所得が下位4分の1(平均279万円)の世帯の乳児は、所得が上位4分の1(平均924万円)の世帯の乳児と比べ、体重の増加不良になる割合が1.3倍となった。
2010年生まれの子も同様の傾向だった。
乳児期の体重の増加不良は、その後の発育や認知能力にも悪影響を及ぼすとの研究結果もある。
一方で、子育てや貧困層への支援が充実している諸外国の調査では親の所得と子の体重に関連がないことが分かっている。
今回の調査に当たった同大医学部の可知悠子講師(公衆衛生学)は「将来の
学力や収入の格差にならないよう、出産直後から切れ目のない支援は必要だ」と指摘している。
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