京都大病院は9月2日、血糖値を下げるホルモンであるインスリンが分泌されなくなる1型糖尿病の治療を目指し、人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作製した「膵島細胞」というインスリンを出す細胞を重症患者に移植する臨床試験(治験)を実施すると明らかにした。
2025年にも開始し、2030年代の実用化を目指したいとしている。
1型糖尿病は、膵臓の細胞が自己免疫などによって壊れて発症する。
血糖値を下げるため毎日インスリンを皮下に自己注射する必要があるほか、低血糖による失神が起こることもあり、実用化すれば患者の負担軽減につながる可能性がある。
京大病院の矢部教授によると、現状では1日に5~7回ほど自己注射が必要な患者もいるといい、「(将来的に)もう注射をしないでいいような世界が見えてくるとうれしい」と話した。
今回実施する治験は、複数ある段階のうち1段階目。
まずは治療の安全性を確かめるごとを目的としている。
治験対象は20歳以上65歳未満の患者3人。
iPS細胞から作った膵島細胞をシート状にして腹部の皮下に移植する予定。シートは数センチ四方で、そこから出るインスリンが毛細血管などから吸収されることで、血糖値が安定すると期待される。
京大と武田薬品工業が共同研究してきた技術を引き継ぎ、iPS細胞を使った再生医療に取り組む企業「オリヅルセラピユーティクス」がシートの製造に携わる。
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