北朝鮮が日本人拉致問題の再調査を含む包括的調査を約束した2014年5月のストックホルム合意について、北朝鮮の複数の対日外交担当幹部が「無効だ」と明言していることが9月7日分かった。
最近、平壌を訪れ同幹部らと会った複数の関係者が明らかにした。2002年9月に当時の小泉首相と金正日総書記が署名、国交正常化の早期実現をうたった日朝平壌宣言は維持する考えを示した。
日本政府に伝わることを前提に語つたとみられる。
日朝対話を模索する安倍政権に対し、制裁解除など関係改善に向けた行動が不可欠だと強調し、拉致問題に主眼を置いた協議には応じない姿勢を明確にする狙いがありそうだ。
同幹部らは、ストックホルム合意を受けて立ち上げた特別調査委が拉致被害者や残留日本人、日本人妻、遺骨の問題などを包括的に調べ、結果はすべて日本に通知したとした上で「日本政府はそれを国民に正しく伝えていない」と主張。
合意は独自制裁再発動など日本側の行動によって「破棄された」と話した。
一方で、日本が植民地支配への「おわび」を表明し、国交正常化後の経済協力に言及した平壌宣言に立ち戻るべきだとし、宣言に基づく過去の清算が先決だと強調。
「制裁と対話は両立しない」とも述べ、対話再開には独自制裁の解除が必要だとの認識を示した。
日朝関係を巡っては、北村滋内閣情報官が7月中にベトナム南部ホーチミンを訪問し、朝鮮労働党統一戦線部のキム・ソンヘ統一戦線策略室長と接触を図ったとみられている。
キム氏が接触に応じたとすれば、米朝交渉を率いる統一戦線部が日本の動向を探ろうとした可能性もある。
関係者は「対日認識は相当に厳しい。ドアをノックすれば開くような雰囲気ではなかった」と語った。
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