財務省は、返す必要がない新たな「給付型奨学金」の導入に向け、19~22歳の子どもを養う親などの税負担を軽くする所得税の「特定扶養控除」を縮小する検討に入った。
税収が増えた分は、親の収入が低くても大学などに進みたい若者の支援に充てる。
国による給付型奨学金の創設は、安倍内閣が8月に閣議決定した経済対策に盛り込まれた。
文部科学省は、生活保護・住民税非課税世帯など年収が低い世帯の学生を対象に、2018年度の入学生から利用できるよう、支給要件や給付額を詰めている。
与党内には、少なくとも月3万円以上の奨学金支給を求める意見がある。
制度導入の3年後には、年500億円近い財源が必要になるとみている。
返済のいらない給付型奨学金の創設に向け、文部科学省は8月31日、議論の途中経過をまとめた資料を公表した。
対象者を選ぶ際、一定の成績基準を設けることを検討。
基準を満たせなくても、学力向上など優れた成果を収めた場合は学校の推薦で対象に含めることも例示した。
文科省は8月30日に公表した来年度予算の概算要求で、給付型奨学金制度をつくると明記。
予算額は示しておらず、政府内で調整して年末までに対象者数や給付額を詰める。
法改正し、2018年度の入学生から利用できるようにする考えだ。
対象は大学、短大、高等専門学校、専門学校生で、児童養護施設の退所者や、生活保護・住民税非課税世帯など年収の低い世帯の学生に限るとした。
高校の1学年では、こうした境遇にあるのは約16万人で、うち進学者が対象となる可能性がある。
また、「高校時の5段階評定で平均3・5以上」を貸与の条件にしている無利子奨学金と同様、「一定の成績基準の設定を検討すべきだ」とした。
基準の具体的な数値は示さなかった。
一方、基準に満たない場合でも学校推薦に当てはまる事例として、「困難な状況を抱えて高校前半で一時的に成績が下がり、後半には学力を向上させるケース」などをあげた。
学校推薦で対象を選ぶ場合は透明性や公平性をどう確保するか、導入時期や手続きをどう周知するかを検討課題とした。
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