法務省が、本人の手書きや押印が義務付けられている「自筆証書遺言」を、パソコン(PC)などデジタル機器で作成できるよう民法改正を検討する方針であることが10月2日、関係者への取材で分かった。
月内にも有識者会議が設置され、見直しの議論を始める。
作成を省力化して遺言書の利用を増やし、相続を巡る家族間紛争を防ぐのが狙い。
偽造・改ざん防止の仕組みづくりが課題になりそうだ。
遺言書は主に、自筆証書遺言と、公証人らと作成する「公正証書遺言」がある。
民法は、自筆証書遺言は全文、日付、名前を手書きし、押印しなければならないと規定。
日付を忘れるなど不備があれば無効になる恐れがあり、手間が大きく、利用は低調になっている。
公正証書遺言は既に、デジタル機器での作成が可能だ。
関係者によると、有識者会議で検討した後、法制審議会(法相の諮問機関)で議論する見通し。
本人の真意に基づくと担保するため署名などの手書き部分を残すかどうかや家族による代理入力の可否などが論点になる見込みだ。
制度改正には数年かかる可能性がある。
政府の規制改革実施計画では「遺言を簡便に作成できる新たな方式を検討する」として、デジタル技術活用の方針を盛り込んでいる。
政府関係者は「全文手書きではハードルが高い。 制度改正で、潰呂作成を考えていない人にも利用しやすくできれば」と話している。
自筆証書遺言の正確な件数は不明だが、自筆遺言を法務局で保管する制度の利用申請は2022年に約1万7千件。
日本公証人連合会によると、公正証書遺言の作成は2022年約11万2千件だった。
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