1月4日、Jリーグルヴァン・カップ決勝。
これまで2度、カップ戦の決勝を観てきたが、いずれも下馬評は劣勢だった。12年ぶりの決勝は気持ち的には優位にあった。そして結果はその通りになった。勝利したら、新宿で降りて「岐阜屋」で祝杯をあげよう。そう決めていた。カップ戦2回、天皇杯1回、いずれも国立競技場。確か、勝利してもその後は真っ直ぐ帰宅したはず。でも、この日はなんだか嬉しくて飲みたい気分だった。
「岐阜屋」は驚くくらい空いていた。いつもは席を探すのに苦労するが、この日は席がたくさん空いていて、どこに座ろうか悩むくらい。結局、小便横丁側の入口近くに座った。
2019年以来の「岐阜屋」。
酒も充実してるし、とにかく料理はなんでもうまい。
「酎ハイ」(410円)と「餃子」(410円)から。
雑然とした、いかにも闇市的な空間の中華で、決して町中華という安寧の店ではないが料理はその分、数多の人が口にし、その度に評価され、研ぎ澄まされていったはず。それは住宅街にある町中華とは違う、西新宿という地だけが知る戦禍の証だと思う。
隣の人の肩が触れるほどの席間で、ともすると本当に肩を擦り合いながら食べて飲んでいても、全く気にならず、これが都心の中華酒場であり、そこいらの中華とは成り立ちも発展も全く違うことをひしひしと感じるのだ。
ともあれ、今回は恐ろしく空いていた。だから、少し気が抜けてしまったところもあるが、ただただ今日は気分がいい。FC東京にとっては9年ぶりのタイトルだったからだ。
隣の人が、「紹興酒」(350円)を飲んでいて、自分も飲みたくなり、ついついオーダーした。そして「肉野菜いため」(530円)も追加。
「紹興酒」は野生味溢れる注ぎ方でグラスに注いでくれる。ミニボトルでの提供ではないのがいいし、また甕から掬いとられるというのでもなく、ある意味この乱雑ぶりがいいのだ。なんだか、この日を精一杯生きた人が何かの喜びに授かりたく、辿り着いたのがこの「岐阜屋」だとしたら、その一つひとつの酒やつまみや料理は祝福の気持ちに溢れ、その僅かな狭いスペースの分だけ幸せがあるように思える。自分は決して精一杯今日を生きたと胸を張っては言えないが、それでも今日の喜びは周りのお客と同じくらいあるように思えた。
「紹興酒」をお代わりして、「蒸しどり」(430円)を頼んだ。怪鳥に連絡して「岐阜屋」のマストメニューを訊くと、彼は「蒸しどり」を挙げたのだ。
これが本当に旨かった。ホロホロの柔らかい鶏と甘い「紹興酒」との相性は抜群。最初からこれで攻めていけばよかったと思うのだった。
手が空いた厨房のお兄さんがこちらを見ている。
「今日、サッカーあったの?」。
例年だと日本はフットボールのシーズンは終わっている。
「あ、あったんですよ」。
そう答えると彼は、「あぁ、FC東京だな」と声を大きくした。それまでは違和感のなかった日本語のイントネーションだったが、「FC東京」の発音は気のせいか中国の人の言葉のように聞こえた。
旨かった。圧倒的に旨かった。
クラブがタイトルを取ったことで、「岐阜屋」に来られたことを感謝しつつ。
こうして自分の2021年は幸先よく始まったのである。
入ってないな~。君と行ったのが最後かも。瓶ビールと蒸し鶏ときくらげ卵炒め、食えるならチャーハンかな。ニンニクラーメンがほんとは食べたいけどものすごいことになるからなかなか勇気が出ません・・・・・。
私の知ってる大阪の下町中華の店なんか、ほとんどの炒め物は中国醤油と紹興酒だけで味付けてましたね、メイラード反応でしたっけ焦げが絶妙の旨さを生むんですよ(^o^)/
もうしばらく「岐阜屋」に行ってないんだね。線路側から入ったことないなぁ。なんか違うお店みたいで緊張するよ。
次回は「きくらげ卵炒め」で攻めるか。
モノノフさん。
「餃子」を見て技術を見抜くとはさすがです。中国醤油と紹興酒!中国4000年の歴史は実はシンプルなんですね。
線路側はコの字カウンターなの?それもいいね。2つの顔を持つ店、「岐阜屋」。次回は線路側に行ってみようかな。
リバーシブルなんだね。