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「えびす亭」を出て、さて件の立ち飲み屋へ。
その店の名は「百万弗」。
松戸競輪場の前を通り過ぎると、辺りはもう完全に住宅街となった。そしてみるみるうちに畑などが点在する寂しい雰囲気に。
一瞬、商店が建ち並ぶ町のようなところを通り過ぎたが、再び住宅街に。
はたしてこんなところに立ち飲み屋があるのだろうか。
駅からかれこれ25分は歩いただろう。やがてMAPに示された近くまで来た時、道の向こう側に店が見えた。
あれか? 「百万弗」は。
時刻はちょうど17時過ぎ。恐る恐る戸を開けてみた。
カウンターに優しそうなマスターがいた。客は誰もいない。
カウンターにポジションして、まずは「チューハイ」(300円)をお願いした。
店内は6坪程度の小さなお店。店内中央に大きなテーブルがあればいいが、その中のスペースが活かされてなく、ちょっともったいないつくり。壁はコンクリートが打ちっぱなしで殺風景でもある。
おすすめが「塩もつ煮込み」とのこと。迷うことなくオーダー。
「チューハイ」はマスターがボトルの炭酸を使って一杯ずつこしらえてくれる。実に丁寧な仕事だ。
マスターに尋ねてみた。
何故、こんな駅から遠いところに店を構えているのかと。
「以前、ここはお袋が営ってた店なんです」。
お、マスターは二代目だったか。
しかし、マスターのご母堂も長いこと、この住宅街で営業してきたのは、よほど大変なことだったはず。素晴らしい。
殺風景な店内に唯一、貼り紙を見つけた。
「塩煮込み」の準備が出来る前に、その貼り紙を見に行ってみた。
どこぞのおじさんのLIVEの告知である。おじさんの目には光がなかった。
一体誰なんだろうと思って貼り紙を読んだら、びっくり。
ストリートスライダースのハリーだった。ハリー、まだ活動していたか。
マスターに、「スライダース、お好きなんですか?」と訊いたら、熱狂的に大好きらしい。そのLIVEの野音にも行ったと、熱っぽく語ってくれた。スライダースは自分より少し上の世代が聴いていた。けれど。昔の音楽イベントには必ず出演し、少なからず自分も見聞きした。好きな曲もいくつかある。昔、解散したバンドが再結成して、おじさんおばさんを楽しませてくれる昨今、どういうわけかストリートスライダースはそんな噂をきかなかった。蘭丸さんとかどうしてるなかなとか時々思っていたが、ハリーがまだ演っていたのは嬉しい。ただ、あのギラギラしたハリーが、瞳に光を宿していない抜け殻のようなおじさんになっているのには驚いた。
「塩もつ煮込み」は素晴らしくおいしかった。
マスターから足立区の酒場情報を教えてもらったのだが、マスターはだいぶお酒が好きらしく、そこで得たおつまみを具現化している様子。この「塩もつ煮込み」もどこかで食べたものがベースになっているのだろう。
「チューハイ」を飲み干し、次に「ホッピー」白をお願いするのだが、このマスターの手持ち無沙汰感がビンビン伝わってくる。
お酒好きだって言うし、それに負けて、「マスターも何か飲まれますか」となり、「チューハイ」をおごった。立ち飲み屋でこんなことは初めて。
次のおつまみはフランクソーセージ。結構、本格的な一品だ。
もしかすると、お店の料理のラインナップは全部マスターが好きな料理かもしれない。
楽しいひと時はすぐに過ぎ去っていく。気がつけば2時間もお邪魔している。
そろそろ帰るかな。
25分かけてきた道を戻って。
ちなみに、マスターは自分の仕事用Xをフォローしてくれて、毎回のポストにいいねを押してくれる。
なんか懐かしいです。
おはようございます。
正式にはスライダーズでしたね。
どうも、スライダースって言っちゃうんです。
蘭丸さんはSGがトレードマークでした。
弾き方もかっこよくて。