とある酒場を目指し、京都の四条通を歩いた。ふと、信号待ちをしていた折り、北側の通りが賑やかに見え、ちょっと行ってみることにした。狭い通りだが、とてつもなく賑わっている。最初から、この通りを歩いてくればよかった。
これが、錦市場か。京都には、何回も来ていたが、錦市場の商店街は初めてだ。
しかし、この通りに渦巻くパワーはものすごい。行き交う人の数。ほとんどは外国人とはいえ、こんなに人で溢れている商店街をボクは他に知らない。
歩いていると、立ち呑みという文字が目に飛び込んできた。
なんと、その店は漬物屋だった。
店頭には漬物樽が所狭しと置かれている。一瞬、スルーしようとも思ったが、好奇心から、ボクはふらふらと店に吸い寄せられてしまった。
「立ち飲み?」
店の人は、ややおっかない。
「えぇ」と言って、ボクはポジショニングした。
漬物屋に気が生えただけの店だと思ったら、さにあらず。酒肴が豊富だった。
漬物はもちろん。「だし巻きたまご」や「かに味噌」、もつ焼きまである。
酒も、日本酒を多く取り揃え、ワインも。
一体この店、何者なのか。
「何にする?」
相変わらず、ポーカーフェイスで迫ってくる店員。ボクは、「ちょっと考えさせて」というのが、やっとだった。
まず、漬物は、外せない。
「ヌカ漬盛り合わせ」(380円)と日本酒「まつもと」(580円)を冷やで。
店内は、それほど広くもない。今は真っ昼間で、客はボクだけだが、夜ともなれば、たくさんの人が詰めかけるのではないだろうか。だって、酒飲みのニーズにガツンとハマる店のようだから。
しかし、さすがに、この店のぬか漬けはうまかった。錦市場に出ているだけに、その糠床は、ただ者ではなかろう。塩気、香り、さっぱり感、どれをとっても素晴らしい。やや、昆布の香りがするのは、糠床に昆布を入れているのだろうか。
盛り合わせは、だいこん、きゅうり、白菜、うりが並び、美しかった。
残念なのは、千枚漬けやすぐきといった京都特有の漬物がなかったこと。しかしながら、言い換えると、この店は、観光客目当てではないのかもしれない。
もう少し、飲んでいこうか逡巡した。けれど、店員はかなり忙しそう。
漬物の販売ではない。
フルーツジュースの販売である。
オレンジに、ノズルを刺し、ジュースを注入、ノズルを抜いた穴にストローを差したものが、飛ぶように売れている。 とりわけ、外国人にかなりウケがいい。
そんな、忙しさを横目で見て、さて目当ての店に行く決心がついた。もう一杯飲んでたら、ヘロヘロになりそうだ。
後で知ったのだが、この店、有名な酒場ライターの方が経営されているとのこと。バッキー井上さんという方。申し訳ないけど、存じ上げない。
あの、おっかない店員が、バッキーさんとやらだったのかしら。
店員さんは怖くても、お店のセンスはよかった。さすがである。
今度は、ゆっくり再訪したい。
それでも、棒鱈とか、京都特有の食材を買う場合には、地元民も錦市場に行くけどね。
ちなみに、千枚漬けとかすぐきには、旬がある。両方冬が旬だから、この時にはなかったんだと思うよ。
しかし、錦にも立ち飲みがあるんだな。立ち飲みハンターの嗅覚、凄いねえ。
そうそう、立ち飲みというと、先日連れの蕎麦屋に行った時に、住宅街の中にぽつんとある、大変マニアックな角打ち風酒屋の情報を聞いたよ。
帰る時に店の前通ったけど、激しく入りにくそうな感じで、なかなか良かった。(笑)
うちからチャリでも行ける距離だから、今度来た時に行ってみようよ。
千枚漬けやすぐきは1年中ないのか。今度は冬に行って、見てくるかな。
>住宅街の中にぽつんとある、大変マニアックな角打ち風酒屋の情報を聞いたよ。
マジか。
行こう、行こう。
京都の立ち飲みで、「すいば」っていう店がいいという情報を聞いたよ。そこも行きたいな。
リーズナブルでお洒落な感じの若者向け立ち飲みだったよ。なかなかいい感じだった。情報ありがとう、師よ!
行ったか。「すいば」に。
自分より、先に行かれてしまうと、ちょっとジェラシーだよ(笑)。
そうか。
やっぱり、いい感じの店だったか。
3店舗くらいあるらしいよ。