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上石神井駅周辺の小さな商店街を歩いた。10分程度で歩けてしまう、こじんまりとした街だった。かつて、西武新宿線沿線に住んでいたとき、上石神井駅には降りたこともなく、ただただ、通りすぎる街だった。
やはり、初めて降りる駅はいいものだ。心からワクワクしてくる。
こんな小さな街にも、意外なことに立ち飲み屋が見つかった。格子の入口で、中が見えにくいが、椅子がなく、恐らく立ち飲みに間違いない。まだ17時前だが、客が一人いる。店に入ると、やはりまだ開店前だという。店内にいたのは、客ではなく、営業マンだったか。
駅周辺を、もう一回りして、店に入った。
一番乗りだった。
店には、おかみさんがひとり。女性が切り盛りする店だった。
店内をぐるりと見回す。内装は洋室で、清掃が行き届いている。メニューをみると、おでんと串揚げがメインらしい。それならば、ホッピーがいい。
ホッピーセット、450円。
串揚げかおでんで悩んだが、寒いので、おでんをチョイス。
だいこん、かまぼこ、玉子にがんも。
一品が90円なのがうれしい。
絶妙なのは、そのお出汁。すっきりしているが、種にすっかり沁みている。
おいしい。
おかみさんは、なかなかに話し好きだった。
今夜の店の出足が遅い、だの、店先にある、巨大なジャックダニエルは、酒造メーカーから表彰されたものだとか。
メニューに「とんちゃん」 があることを指摘すると、「愛知出身なのよ」と言う。ストレートな物言いは、いかにもと言ったところだ。
それでも、店はかれこれ、7年目を迎えたということだから、もはや常客もついて、軌道に乗ったのだろう。とはいえ、おかみさんには、どことなく、素人っぽさがあるのは、気のせいか。
ただ、値段設定が素晴らしい。生ビールが350円。前述したおでんが90円。そして、串揚げも一本90円というのがうれしい。愛情をかけた酒肴が、この値段なら、ついつい毎日でも、立ち寄りたくもなる。
多分、何回も訪ねてきてこそ、お店の良さが沁みてくるのだろう。
おかみさんが作るおでんのように。
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