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居酒屋さすらい 1045 - 余韻に浸るうまい酒 - 「よしの」(所沢市小手指町)

2016-07-30 22:13:55 | 居酒屋さすらい ◆地方版

大学の口頭試問が終わった。

一度、ゼミに戻り、指導教員と話しをして、ボクは帰宅の途についた。

なんとか、卒業できそうだ。

もうトコキャンに来ることもないかもしれない。いや、小手指にすらもう来ないかもしれない。

駅に向かうバスの中でボクはぼんやりと考えた。

酒でも飲んで帰るか。思い出の小手指ショッピングアーケードで。

 

ボクは気分がよかった。

たいした研究ではなかったが、淀みなく時間通りに説明を終えることができた。

 

小手指ショッピングアーケードに入り、ボクはまだ入ったことのない店を選んだ。

座りの居酒屋。「よしの」。

暖簾にかわいいふくろうの刺繍が入っている。

 

落ち着いた雰囲気の店だった。お父さんとお母さんが経営する小さな店。

カウンターに座って、ボクは生ビールを頼んだ。

丁寧に注がれたジョッキをボクは喉を鳴らしながら飲んだ。

 

やっと終わった。

座ってビールを飲み始めたとき、一気にボクの感情は解放された。

厳しい質問も浴びせられることなく、ボクの口頭試問は無事に終わった。

 

そういう思いに浸りながら酒を飲むのは嫌いではない。

少しの満足感と少しのカタルシスを抱えながら。

 

2杯目の生ビールを飲み干して、ボクはお酒を熱燗でいただいた。

つまみは「厚揚げ」。

素朴な料理が一番酒に合うという単純なことに気が付いた。

いいあんばいだ。

酒も肴も。

 

うまい酒っていうのは、店や酒や酒肴だけで決まるものではない。

心の内面が充実していなければおいしく感じないだろう。

口頭試問の余韻をつまみにボクはひとりうまい酒を飲む。

 

長い5年間だった。

ひとりで酒を飲んでいるが、それが最も自分らしいなと今は思う。

今、ボクが小手指アーケードの小さな店で酒を飲んでいるって、多分誰も知らないはず。

それがかえって面白かった。

いや、ボクのことを気にしている人など多分、この世界中にいやしないわけだから、それでおあいこっていうことで。

とにかく、ボクは今うまい酒を飲んでいるんだ。

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