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恵比寿の立ち飲みは雑駁な感じがある。
お洒落なバルから角打ち、ひいてはこのたこ焼き屋まで様々だ。
ボクのコレクション癖は困ったもので、こんなたこ焼き屋なんかほっとけばいいものを、ついつい立ち寄ってしまう。
「築地銀だこ ハイボール酒場」にはかつて3回ほど行ったことがある。
1回目が経堂、次に八重洲、そして田町である。
5年ほど前だったろうか、浜松町の貿易センタービルの前にある大きな駐車場に大きなハイボール酒場が突如現れ、「いつか行ってやろう」と思っているうちになくなってしまった。あれが、「ハイボール酒場」との出会いだった。
たこ焼きだけだと思っていた酒肴も、鉄板焼きや揚げ物など多彩なメニューがラインナップし、一時期ボクは八重洲の店に通った。
けれども、立ち飲みラリー山手線編で田町に立ち寄り、入った「ハイボール酒場」が最悪だった。オーダーした酒肴がなかなか出てこなく、ボクはお金を払いっぱなしにして店を出た。
あれ以来、ボクのハイボール酒場観は地に堕ちたままだ。
恵比寿の店もそれほど期待をしないで店に入った。
ビールは飲む気がしない。だって、プレモルだから。
ここは店名の由来となっている「ハイボール」で攻めようと思った。
「角ハイボール」が370円。悪くはない値段だ。
濃厚な甘辛ソースのたこ焼きとハイボールの爽やかさの相性は抜群。
そこでボクはプレミアムたこ焼きなるものにチャレンジした。
「アボカドの柚子わさびソース仕立」。
なんやねん。
多分、本場大阪の人だったら、そんな風に言うんだろうな。
アボカドで、柚子でわさびって。
どれも本気じゃないじゃん。
こういうのって、だいたい外れるんだよな。と思いつつ、食べてみると、案の定。
おいおいオーソドックスや奴にしとけばよかった。
4個450円。
おいおい、祭りの屋台よりも高いじゃん。
あぁ、やっぱ外した。
ハイボールをおかわりして帰るとするか。
この「ハイボール酒場」なる店の展開は早い。
先述した浜松町の店は恐らく夏季限定だったのだろうが、夏の間になくなった。
ボクを激怒させた田町の店も数か月後に行ったら、跡形もなくなっていた。
そして、この恵比寿店も2か月後には店をたたんでいた。
まるで、ゲリラのような不思議な店である。