「Kirin City」を出て、今晩泊まる宿を探しに駅の外に出た。
盛岡の町は平坦で、なんとなく薄ら寂しい。子どもの頃から、盛岡駅はなんとなく縁がある。母方の祖母の家が一戸にあり、盛岡はいつも素通りする駅だった。それが変わったのが、東北新幹線の開業である。これによって、盛岡駅は素通りから乗り換えの駅に変わったのである。けれど、盛岡駅で下車したのは過去2度。実は縁があるようで、ないのが盛岡だった。
かつては、新幹線の最北端だった駅も、八戸まで延伸し、いよいよこの冬は青森まで更に延びていく。
しばらく歩くと、「東横INN」の看板が向こう側に見えてきた。今晩はここに泊まることにしよう。
しかし、盛岡の町は仙台よりも更に寒かった。もう4月の中旬も過ぎたというのに、気温は恐らく氷点下になっていると思われる。花冷えではない。なにしろ、桜前線はまだまだ南をうろついていることだから。でも一体いつになれば、この北の町に春が訪れるというのか。
辺りが暗くなって、さて出かけようかという段になると、外は雪がちらつき始めた。みるみるうちに大降りとってしまった。
こんな夜は銭湯にでも行って温まってから居酒屋に行くのがいい。そう思い、傘をさして、酒場と銭湯の探索に出かけたのだった。
北上川を渡って、大通りを歩く、居酒屋はたまに点在しているのだが、いかんせん銭湯が見つからない。だが、その居酒屋もコレ!といった決め手がなく、ただただ物色するだけった。
奥州街道まで出てみた。この辺りに大衆酒場の比較的古い店が点在したが、あまり魅力を感じずに素通りした。すると、眼前に銭湯と思しき煙突が夜の闇に突き刺さるように見えた。早速、そこまで行ってみると果たして、望みどおりのひなびた銭湯があった。
一風呂浴びて、外に出ると、雪はすっかりやんでいた。
だが、やはり恐ろしく寒い。湯冷めしてはいかん。早急に今晩の止まり木を探さなければならない。
結局、わたしは北上川のほうへ戻ることにし、とぼとぼ歩いていると、見えてきたのが「花太郎」という名の居酒屋。店頭にメニューを書いた紙をベタベタと貼って、それほど魅惑的な店には見えなかったが、かえって飾り気のない店の方が、地方は当たりになるケースが多いことを思い出して入ってみることにした。
ドアをがらりと開けると、おばさんがひとり。カウンター内の厨房に立っている。カウンターはやや重厚な木材で作られており、わたしは、一番端に座ってみた。背後には障子があって、店は超純和風。盛岡らしく民芸調の店になっているが、これは多分狙ったものではなく、ナチュラルにそうなっているものと思われる。
散々、さっき「Kirin City」でビールを飲みすぎた。
だから、ビールは端折って、日本酒の熱燗から。米どころ、岩手は酒処でもある。地酒は県内産を中心に全20種。もちろん、それをチョイスしたのだが、残念ながら銘柄は失念した。
お通しはねぎみそ。これがなかなか渋い。めちゃめちゃお酒に合っている!みそをチビチビと舐めながら酒を呑む。なんと至福の時間なのだろう。
さて、つまみに何を頼もうか。
メニューを眺めていると南部名物という「そばカッケ」(600円)が目に入った。
一体、どういう食べ物なのだろう。全く想像がつかず、おもむろにおばちゃんに聞いてみる。すると「蕎麦を切らずに平べったいままの状態で入れたおつゆだよ」という。
珍しそうなので、それをもらうことにした。
正直言えば、これはあまり感動するものではなかった。
これなら、普通に蕎麦を食べたほうがいいが、だがこれは恐らく、寒冷地の保存食なのであろう。
次に「ワカサギのてんぷら」をもらった。 このワカサギがバカウマだった。カラッと揚がった衣がサクサクして、やや大きな身のワカサギがほろっとする食感。いいねぇ、ワカサギ!
熱燗をお代わりしていくうちに、おばちゃんとも打ち解けてきた。
世間話をしながら、お酒が進む。
なにしろ、こんな冬のような寒い日だから、客はわたし一人。
メニューには山菜の料理、卵焼きなどの家庭料理といった温かみ溢れるメニューが続々並ぶ。つまみ一品とおばちゃんとの話しがあれば、もう何もいらない。
話しが途切れると、車が時折通る以外は、静寂が訪れる。
田舎に帰ってきた。そんな錯覚に陥りそうになってしまう。
なんて、心地がいいんだろう。
やはり、北東北の醍醐味は冬から春にかけてだろうな。
盛岡の町は平坦で、なんとなく薄ら寂しい。子どもの頃から、盛岡駅はなんとなく縁がある。母方の祖母の家が一戸にあり、盛岡はいつも素通りする駅だった。それが変わったのが、東北新幹線の開業である。これによって、盛岡駅は素通りから乗り換えの駅に変わったのである。けれど、盛岡駅で下車したのは過去2度。実は縁があるようで、ないのが盛岡だった。
かつては、新幹線の最北端だった駅も、八戸まで延伸し、いよいよこの冬は青森まで更に延びていく。
しばらく歩くと、「東横INN」の看板が向こう側に見えてきた。今晩はここに泊まることにしよう。
しかし、盛岡の町は仙台よりも更に寒かった。もう4月の中旬も過ぎたというのに、気温は恐らく氷点下になっていると思われる。花冷えではない。なにしろ、桜前線はまだまだ南をうろついていることだから。でも一体いつになれば、この北の町に春が訪れるというのか。
辺りが暗くなって、さて出かけようかという段になると、外は雪がちらつき始めた。みるみるうちに大降りとってしまった。
こんな夜は銭湯にでも行って温まってから居酒屋に行くのがいい。そう思い、傘をさして、酒場と銭湯の探索に出かけたのだった。
北上川を渡って、大通りを歩く、居酒屋はたまに点在しているのだが、いかんせん銭湯が見つからない。だが、その居酒屋もコレ!といった決め手がなく、ただただ物色するだけった。
奥州街道まで出てみた。この辺りに大衆酒場の比較的古い店が点在したが、あまり魅力を感じずに素通りした。すると、眼前に銭湯と思しき煙突が夜の闇に突き刺さるように見えた。早速、そこまで行ってみると果たして、望みどおりのひなびた銭湯があった。
一風呂浴びて、外に出ると、雪はすっかりやんでいた。
だが、やはり恐ろしく寒い。湯冷めしてはいかん。早急に今晩の止まり木を探さなければならない。
結局、わたしは北上川のほうへ戻ることにし、とぼとぼ歩いていると、見えてきたのが「花太郎」という名の居酒屋。店頭にメニューを書いた紙をベタベタと貼って、それほど魅惑的な店には見えなかったが、かえって飾り気のない店の方が、地方は当たりになるケースが多いことを思い出して入ってみることにした。
ドアをがらりと開けると、おばさんがひとり。カウンター内の厨房に立っている。カウンターはやや重厚な木材で作られており、わたしは、一番端に座ってみた。背後には障子があって、店は超純和風。盛岡らしく民芸調の店になっているが、これは多分狙ったものではなく、ナチュラルにそうなっているものと思われる。
散々、さっき「Kirin City」でビールを飲みすぎた。
だから、ビールは端折って、日本酒の熱燗から。米どころ、岩手は酒処でもある。地酒は県内産を中心に全20種。もちろん、それをチョイスしたのだが、残念ながら銘柄は失念した。
お通しはねぎみそ。これがなかなか渋い。めちゃめちゃお酒に合っている!みそをチビチビと舐めながら酒を呑む。なんと至福の時間なのだろう。
さて、つまみに何を頼もうか。
メニューを眺めていると南部名物という「そばカッケ」(600円)が目に入った。
一体、どういう食べ物なのだろう。全く想像がつかず、おもむろにおばちゃんに聞いてみる。すると「蕎麦を切らずに平べったいままの状態で入れたおつゆだよ」という。
珍しそうなので、それをもらうことにした。
正直言えば、これはあまり感動するものではなかった。
これなら、普通に蕎麦を食べたほうがいいが、だがこれは恐らく、寒冷地の保存食なのであろう。
次に「ワカサギのてんぷら」をもらった。 このワカサギがバカウマだった。カラッと揚がった衣がサクサクして、やや大きな身のワカサギがほろっとする食感。いいねぇ、ワカサギ!
熱燗をお代わりしていくうちに、おばちゃんとも打ち解けてきた。
世間話をしながら、お酒が進む。
なにしろ、こんな冬のような寒い日だから、客はわたし一人。
メニューには山菜の料理、卵焼きなどの家庭料理といった温かみ溢れるメニューが続々並ぶ。つまみ一品とおばちゃんとの話しがあれば、もう何もいらない。
話しが途切れると、車が時折通る以外は、静寂が訪れる。
田舎に帰ってきた。そんな錯覚に陥りそうになってしまう。
なんて、心地がいいんだろう。
やはり、北東北の醍醐味は冬から春にかけてだろうな。
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