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BASEBALL馬鹿 BLOG

モザイクの一球NO.0031~生きる伝説たちよ~モルツVSワールドドリームスⅡ

2006-08-03 23:47:46 | モザイクの一球
野球を観にいくのにこんなにワクワクするのも久しぶりだ。
 しかも大嫌いな箱庭球場「東京ドーム」。
 この日は年に一度のモルツ球団のゲームである。
 モルツ球団の試合はなんと言ってもうまいモルツが安く飲めるところがいい。
 しかも、今年は2年連続セレクションの最高金賞を受賞した「ザ・プレミアム・モルツ」が飲める。
 ワクワクしないほうがおかしい。

 席は右翼スタンド最前列。
 こんなの初めて。
 目の前にグラウンドが横たわっているということは非常に気持ちのいいものである。

 両チームのスタメンを早速買ってきた「ザ・プレミアム・モルツ」をあおりながら眺めてみる。
 モルツには昨年引退したばかりの野村謙二郎がいれば、4番には「ミスターと呼ばれたもう一人の男」(94年頃の『モルツ』のCMより)山本浩二がモルツに久々登場。
 実はわたくし、モルツ球団ができた最初の年にも観戦に来た。子供の頃、憧れだった山本浩二のプレーがまた見られる、というのでワクワクして出かけたことを思い出す。
 そして、アーチストの田淵幸一は3番スタメン出場。いやぁ、思い出すなぁ。西武と中日の日本シリーズ。第何戦かは忘れてしまったけれど、高々と美しい弧を描いて放った本塁打を八千代市の電気屋で見たんだっけ。
 そうそう、5番右翼の駒田徳広。彼のプロ初打席で放った満塁弾も確か八千代台のユアエルムの電気屋で見ていた。いやぁ、忘れもしないよ。あの峻烈な記憶。
 そして、一塁を守る石井浩郎。
 彼の思い出といえば、読売にトレードで入団してきたばかりの試合。対横浜戦の最終回で大魔神佐々木から値千金の同点弾をバックスクリーン横に叩き込む。確か、2球目くらいに佐々木が放ったフォークボールを悠然と見逃し、「これが噂のフォークか」と言わんばかりに打席で大きく大きく頷いた石井は、その決め球のフォークを狙い打って中堅超えに本塁打を名刺代わりに打ってみせた。
 あのシーンは、今でもはっきりと覚えている。

 一方のワールドドリームスⅡには史上最強の助っ人、ランディ・バースをはじめ、ラルフ・ブライアント、オレステス・デストラーデ。ブーマー・ウェルズ、ジョン・シピン、レロン・リーなどなど錚々たる外国人選手が名を連ねる。
 これもまたすごいメンバーだ。

 試合展開なんて別段どっちでもいい。
 2万人の観客(読売の試合よりもお客さん入っているんじゃない?)も、ビール飲んで、往年の選手を見ているだけでご機嫌。

 ゲームが沸いたのは、衰えることを知らないおっさん、村田兆治が出てきた場面。この56歳、未だに140kmを超えるスピードボールを投げるんだからスゴイ。しかし、この日はMAX139km止まり。あと1kmが出なかったが、球場はおおいに沸いた。

 スタンドの爆笑を誘ったのが、達川光男。
 打席に立った彼に内角の厳しい球が放られると、手首近辺を投球が通過。彼はバッティンググローブを外し、「当たった」とアピールしながら、一塁へ。結局、死球にはならずとも、彼の演技は今も健在だった。

 ワールドドリームⅡの佐野滋紀の「ピッカリ投法」もスタンドを爆笑の渦に追いやった。彼もまた記憶に残る選手だった。

 大きな拍手を浴びていたのが「待つことが仕事だった男」川藤幸三である。
 打席に入る前、「ザ・プレミアム・モルツ」を口に含み、「あぶさん」(水島新二原作)の景浦安武よろしく、バットに吹き付け、登場してきた。
 この愛すべき、選手はプロ野球人の中でも稀有な存在だった。
 戦力外通告された阪神タイガースに「給料いらんから残してくれ」と云った男は選手生活の晩年、オールスターに初めて選出。2塁打性のあたりを放つもセカンドベースでタッチアウトとなった。
 その川藤、粘って右翼前に安打を放った。

 試合は終盤、ワールドドリームスⅡがビッグイニングを作ってモルツを引き離す。試合の大勢が決まったところで、わたしは席を立った。
 恐らく、最後は稀代のリリーフエース江夏豊が登板してくることだろう。
 だが、どうもこの投手だけは老いさばらえた姿を見たくなかった。
 それは、ちょっと前に読んだ「博士の愛した数式」(小川洋子原作、新潮文庫)の影響を受けたこともあるだろう。

 それよりも、カープファンにとっては「江夏の21球」(山際淳二著、角川文庫)の後に夢の続きはありえないのだ。

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