
カラオケスナックを当欄に掲載するのは少し抵抗があるが、余りにもドラマチックな結末だったので、敢えて居酒屋放浪記に加えてみたいと思う。
下呂温泉で、すっかり温泉を数軒はしごし、部屋だしの夕食でチルドビール、芋焼酎をしこたま飲み、締めにご飯3杯を食べた、わたくし熊猫は、すっかり寝る寝るモードで布団に入ったところ、連れのふらいんぐふりーまん師にぶつくさ文句を言われた。
時刻は夜10時(恐らく)。「せっかくの温泉旅行なのに、風呂入って、飯食って寝るとは、
なにしに来たんだ」となじるふらいんぐふりーまん師。その彼の言葉はもっともだった。 だが、わたしの瞼は重くなるばかり。彼には悪いが、今は睡魔に身も心も捧げてしまおう(この模様はふらいんぐふりーまん師のブログ「鬼飛ブログ」に掲載)。
そう思ったときだった。突然、全身を電気のようなものが走る。「このままではいけない」という囁きがどこからか聞こえてきたと思ったら、突然体が起き始めた。しかも勝手に。むくりと寝床から起きて、わたしは氏にこう言った。
「行こうぜ、仲居のおばちゃんの店に」。
師は少し驚いた表情をしながら、支度を始めた。
仲居のおばちゃんの店、というのは給仕をしてくれた、この宿の仲居さんが、経営するスナックのことである。夕食を用意してくれた際に、「今晩いらっしゃいよ」、としっかり自分の店を彼女はアピールしていたのである。しかし、我々がその店に赴くに至った理由は、そのおばちゃんの一言ではない。そのおばちゃんのもとでアルバイトしている、もうひとりの仲居さんが目当てだったのだ。
その仲居さん、歳の頃は30くらいか。
我々が宿をチェックインした際に、噴泉地の場所を氏が質問をすると、屈託のない笑顔で教えてくれた。しかも、「わたしもたまに行きますよ」などという。
「ホントかいな~」という突っ込みを心の中でしつつ、「へぇ~」と妙な相槌で 我々はニタ~っと微笑んだ。
強烈なエロエロビームを発しながら。
そのグラマラスな彼女がスナックに居るらしい。それは行ってみないと。
我々は宿の人から道順を聞き、浴衣の上に丹前を羽織って、いそいそと出かけたのである。しかし、いかんせん2月上旬の下呂は寒い。いくら暖冬だからといったって、浴衣に下駄は寒い。それでも、夜の10時半すっかり夜の帳のおりた町に繰り出していった。
町といっても、そんなに開けたところではない。
JR下呂駅のすぐ近く、「カラオケ・スナック 蘭」はすぐに見つかった。
わたし個人的に「スナック」に来たのって、恐らく初めてかも。
仕事の接待や先輩方に連れられて行ったことはもちろんあるけれど、自分でお金を出すのって初めてだと思う。基本的にケチケチだからね。
さて、そんなスナックの重い扉を開いてみて、びっくり。お客、誰もいましぇん。
土曜日の11時にこりゃ、まずいだろ。
ママも「今、常連さんが帰ったとこ」と言ってるけれど、なんかわざとらしい。 カウンターに通されて、お絞りをいただき、顔を拭いて、気が付いた。
「あれ?お姉ちゃんは?」とふらいんぐふりーまん師。
「そうそう、お姉ちゃんいないの?」とわたし。
すると、ママは「今晩は、具合が悪くて帰ったよ」。
ホントかよ~っ。と我々は疑いビームをママに浴びせながら、超落胆!
いやぁ、ホントがっかり。
飲み物はキリンラガー。
ポテトチップスをかじりながら、ママの流転の人生を聞く。京都で羽振りのいい時期もあったようだが、流れついて辿り着いたのが下呂温泉。だが、女手ひとつで、子供を育て、店を出してやっていってるってのもエライことだよなぁ、と思う。旅館で仲居のパートをやっているってことは、スナックの経営も順風とはいかないまでも、大変なことですナ。
そんな、人生に耐えながら、今日ここまで生きてきました。辛いことも悲しいこともひとり胸にしまって、泣いた日々。さぁ、唄っていただきましょう。「悲しい色やね」。唄うはこのひと、ふらいんぐふりーまん師!(浜田淳風に)
♪にじむ灯りをふたり見ていた♪(ふらいんぐふりーまん師、カラオケ歌う)
しかし、師の選曲はよかったね。まさにママの人生模様を代弁してたね。そして、関西人らしい選曲をしたのなら、このわたしにだって考えがあらぁ!
(再び浜村淳風に)ここで一緒に死ねたらいいと、冷たいみぞれが頬を叩く。海にはカモメの鳴き声響き、遠くで船が汽笛を鳴らす。1人の旅はつらいけど、あなたといるのはもっと辛い。これが、男の本音。ひとりゆく身の人生だ。唄っていただきます。熊猫刑事「みちのくひとり旅」。
♪ここで一緒に死ねたらいいと、津軽涙の意地らしさ♪(熊猫刑事も負けじとカラオケ歌う)
オレだって、南部生まれのはしくれよ!
その後、わたしとふらいんぐふりーまん師はカラオケの応酬となった。
師が、ママと「ロンリーチャップリン」をデュエットすると、わたしも「もしかしてPartⅡ」でデュエット対決した。
しかし、ママの声は顔に似合わず、可愛かった。
声だけ聞いたら、グッとくるのだが…。
ちなみに同店の自慢は60インチの大画面プラズマテレビ。
この巨大なモニターに映し出されて、唄うカラオケは圧巻だ。
さて、カラオケ勝負は、師の伝家の宝刀、「ガッチャマン」をヒーロー漫画唱法で熱唱。勝負が決した。
さて、すっかり唄って声がガラガラだ。時計をみると既に日付が変わって1時半。 おやおや、時が経つのを忘れて唄ってしまった。そろそろ、宿に引き上げようと、勘定を払って、外へ。
すると、外は一面の雪景色。吹雪のように、牡丹雪が舞い、路面にもすでに白いものが降り積もっている。
その寒いことといったらおびただしい。
浴衣に丹前、そして下駄。
俺たちゃ、高野山の修行僧かっ!
帰り際、ママから借りたタオルを片手に噴泉地でひとっ風呂浴びて、オレたちは宿に帰った。
わたしは、その後案の定風邪をひいた。
■写真は店を出て雪景色に凍えながら記念写真におさまるふらいんぐふりーまん 師(右)と熊猫刑事
下呂温泉で、すっかり温泉を数軒はしごし、部屋だしの夕食でチルドビール、芋焼酎をしこたま飲み、締めにご飯3杯を食べた、わたくし熊猫は、すっかり寝る寝るモードで布団に入ったところ、連れのふらいんぐふりーまん師にぶつくさ文句を言われた。
時刻は夜10時(恐らく)。「せっかくの温泉旅行なのに、風呂入って、飯食って寝るとは、
なにしに来たんだ」となじるふらいんぐふりーまん師。その彼の言葉はもっともだった。 だが、わたしの瞼は重くなるばかり。彼には悪いが、今は睡魔に身も心も捧げてしまおう(この模様はふらいんぐふりーまん師のブログ「鬼飛ブログ」に掲載)。
そう思ったときだった。突然、全身を電気のようなものが走る。「このままではいけない」という囁きがどこからか聞こえてきたと思ったら、突然体が起き始めた。しかも勝手に。むくりと寝床から起きて、わたしは氏にこう言った。
「行こうぜ、仲居のおばちゃんの店に」。
師は少し驚いた表情をしながら、支度を始めた。
仲居のおばちゃんの店、というのは給仕をしてくれた、この宿の仲居さんが、経営するスナックのことである。夕食を用意してくれた際に、「今晩いらっしゃいよ」、としっかり自分の店を彼女はアピールしていたのである。しかし、我々がその店に赴くに至った理由は、そのおばちゃんの一言ではない。そのおばちゃんのもとでアルバイトしている、もうひとりの仲居さんが目当てだったのだ。
その仲居さん、歳の頃は30くらいか。
我々が宿をチェックインした際に、噴泉地の場所を氏が質問をすると、屈託のない笑顔で教えてくれた。しかも、「わたしもたまに行きますよ」などという。
「ホントかいな~」という突っ込みを心の中でしつつ、「へぇ~」と妙な相槌で 我々はニタ~っと微笑んだ。
強烈なエロエロビームを発しながら。
そのグラマラスな彼女がスナックに居るらしい。それは行ってみないと。
我々は宿の人から道順を聞き、浴衣の上に丹前を羽織って、いそいそと出かけたのである。しかし、いかんせん2月上旬の下呂は寒い。いくら暖冬だからといったって、浴衣に下駄は寒い。それでも、夜の10時半すっかり夜の帳のおりた町に繰り出していった。
町といっても、そんなに開けたところではない。
JR下呂駅のすぐ近く、「カラオケ・スナック 蘭」はすぐに見つかった。
わたし個人的に「スナック」に来たのって、恐らく初めてかも。
仕事の接待や先輩方に連れられて行ったことはもちろんあるけれど、自分でお金を出すのって初めてだと思う。基本的にケチケチだからね。
さて、そんなスナックの重い扉を開いてみて、びっくり。お客、誰もいましぇん。
土曜日の11時にこりゃ、まずいだろ。
ママも「今、常連さんが帰ったとこ」と言ってるけれど、なんかわざとらしい。 カウンターに通されて、お絞りをいただき、顔を拭いて、気が付いた。
「あれ?お姉ちゃんは?」とふらいんぐふりーまん師。
「そうそう、お姉ちゃんいないの?」とわたし。
すると、ママは「今晩は、具合が悪くて帰ったよ」。
ホントかよ~っ。と我々は疑いビームをママに浴びせながら、超落胆!
いやぁ、ホントがっかり。
飲み物はキリンラガー。
ポテトチップスをかじりながら、ママの流転の人生を聞く。京都で羽振りのいい時期もあったようだが、流れついて辿り着いたのが下呂温泉。だが、女手ひとつで、子供を育て、店を出してやっていってるってのもエライことだよなぁ、と思う。旅館で仲居のパートをやっているってことは、スナックの経営も順風とはいかないまでも、大変なことですナ。
そんな、人生に耐えながら、今日ここまで生きてきました。辛いことも悲しいこともひとり胸にしまって、泣いた日々。さぁ、唄っていただきましょう。「悲しい色やね」。唄うはこのひと、ふらいんぐふりーまん師!(浜田淳風に)
♪にじむ灯りをふたり見ていた♪(ふらいんぐふりーまん師、カラオケ歌う)
しかし、師の選曲はよかったね。まさにママの人生模様を代弁してたね。そして、関西人らしい選曲をしたのなら、このわたしにだって考えがあらぁ!
(再び浜村淳風に)ここで一緒に死ねたらいいと、冷たいみぞれが頬を叩く。海にはカモメの鳴き声響き、遠くで船が汽笛を鳴らす。1人の旅はつらいけど、あなたといるのはもっと辛い。これが、男の本音。ひとりゆく身の人生だ。唄っていただきます。熊猫刑事「みちのくひとり旅」。
♪ここで一緒に死ねたらいいと、津軽涙の意地らしさ♪(熊猫刑事も負けじとカラオケ歌う)
オレだって、南部生まれのはしくれよ!
その後、わたしとふらいんぐふりーまん師はカラオケの応酬となった。
師が、ママと「ロンリーチャップリン」をデュエットすると、わたしも「もしかしてPartⅡ」でデュエット対決した。
しかし、ママの声は顔に似合わず、可愛かった。
声だけ聞いたら、グッとくるのだが…。
ちなみに同店の自慢は60インチの大画面プラズマテレビ。
この巨大なモニターに映し出されて、唄うカラオケは圧巻だ。
さて、カラオケ勝負は、師の伝家の宝刀、「ガッチャマン」をヒーロー漫画唱法で熱唱。勝負が決した。
さて、すっかり唄って声がガラガラだ。時計をみると既に日付が変わって1時半。 おやおや、時が経つのを忘れて唄ってしまった。そろそろ、宿に引き上げようと、勘定を払って、外へ。
すると、外は一面の雪景色。吹雪のように、牡丹雪が舞い、路面にもすでに白いものが降り積もっている。
その寒いことといったらおびただしい。
浴衣に丹前、そして下駄。
俺たちゃ、高野山の修行僧かっ!
帰り際、ママから借りたタオルを片手に噴泉地でひとっ風呂浴びて、オレたちは宿に帰った。
わたしは、その後案の定風邪をひいた。
■写真は店を出て雪景色に凍えながら記念写真におさまるふらいんぐふりーまん 師(右)と熊猫刑事
それは、ふらいんぐふりーまん師の文章ですね。
娘のリズムに合わせて生活しているので、朝は6時起き、夜は11時寝です。そのリズムが体に染みついたせいか、10時過ぎるともうおねむ。
温泉で弾けるっていうのも分かっているんだけれど、体がついていかないんです。
でも、このとき、甦ってよかった。
あのまま、寝ていたらブーイングだろうな。
でも確かに温泉に来たら、夜更かししないと!
とはいいつつも、最近の温泉街は
外に出ても活気が無くて、遊べるところが無いんですよね~。
でも、そろそろスナックに行ってみても大丈夫な年齢かなぁ(笑)
500円アップしたのは、基本的に長居のし過ぎと、歌いすぎじゃないの?
ビールの量じゃないと思うなあ・・・。
ま、あれだけ居たんだからしょうがないかも。下手すりゃカラオケボックスより、延長料金安いもん。(笑)
ただ、確かにお店の評価としては底辺のレベルだったね。なんと言っても期待の大砲、「グラマラス!?おねえさん」(笑)がいなかったもんね。だから3000円だったという意見もある訳だけど・・・。
けど、あの店、十分楽しめたよ。
これって、何で高くなったんだっけ?師よ。
ビール3~4本飲んだからだっけ?
まぁ、楽しかったからいいけれど。
さて、「スナック蘭」だが、やっぱり、劇的という意味では書かなきゃいけないかな、と。そう思って加えてみたよ。店の評価としては低いけどね。次に師と温泉に行くのはいつだろうか。1年に一度あれば、けっこう愉快だね。
しかし、あの時の完全眠りモードからの不死鳥の如くの復活は凄かったよね。あんな熱い師を見たのは、初めてだったような気がするよ。
しかし、その熱さで体温を全て消費してしまい、その後風邪を引いてしまった訳だが・・・。(笑)
けど、あの時は面白かったなあ。またやろうぜ!!