すっかり赤羽はメジャーな街になった。山田孝之のおかげか、それとも昼飲み企画のテレビの影響か、とにかく土日の赤羽は酔客でごった返している。
平日ならまだしも、週末の赤羽はもう行く気もしない。
北本で取材した後、N刊自のH部さんと赤羽に降りた。ちょっと酒を飲もうと。
その僅か1週間前、盛岡で大失態を演じたのに、懲りない奴ら。
以前、H部さんを「まるます家」に連れて行き、度肝を抜かせた。普段、H部さんには新橋の怪しげなスポットを教えてもらっているから、その恩返しだ。
だが、この日、H部さんを驚かすつもりは毛頭なかった。だって、自分がかねてより行きたかった酒場に行こうと思っていたからだ。
その酒場とは立ち飲み「桜商店603」。
赤羽を代表する立ち飲み屋のビッグネームの影に隠れて、あまり目立たない店であるが、少しずつ赤羽の中でポジションを見つけつつある酒場のひとつである。
店はビルの1階にあるが、店構えはどこか掘立小屋風だ。
店内も板を合わせた壁と白木のテーブルで、一見番屋風である。その雰囲気は「いこい 支店」に似ている。メニューは100円から。「らっきょ」「キムチ」「揚げなす」など。
「煮込み」は150円。生ビールが350円であるから、一応ビールと煮込みがワンコインという赤羽の伝統を守っている。
その「煮込み」をいただいた。
器に山と盛られた大盛りだった。「いこい」や「喜多屋」の煮込みの2倍はあるだろうか。いや、3倍はあるかも。それだけダイナミックに盛られている。150円にして、この山盛りは素晴らしい。
「ポテトサラダ」もいただく。だが、これがいただけなかった。もろに業務用なのである。
「煮込み」と「ポテトサラダ」を注文すれば、おおよそのお店の格を知ることができる。
大盛りの「煮込み」を見て、おおいに期待したボクだが、この「ポテサラ」はないだろう。「ポテサラ」は今や店の付加価値を高める重要なアイテムである。それをおろそかにするとは、その店の姿勢がうかがえる。
メニューは豊富で、しかも100円から。赤羽らしい立ち飲み屋だとは思うのだが、何故か気持ちが乗ってこない。
「いこい 支店」や「喜多屋」、あるいは「まるます家」のように、ワクワクする気持ちが沸き起こってこないのだ。
それは一体何だろうか。
それは恐らくリズムなのではないか。
店と客が織りなすリズム感。テンポよく小気味よく繰り返される独特のリズム。
悪い店ではないが、立ち飲み激戦区赤羽の中では、ちょっと霞んで見えてしまうのは仕方ないことなのかもしれない。
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