
蒸し暑いのなんのって。確か、多治見って確か日本一暑い街ではなかったか。
14時半には仕事を終え、多治見駅に戻ってきたとき、ボクはもう喉がカラカラだった。ただ、この街は恐らく昼飲みできないだろうと踏んでいた。だから、名古屋に戻ってからゆっくりと飲むことになるだろう。
そうやって歩いていると、暖簾が出ている店があった。
「本町ロマンス食堂」という看板が出ている。なんだ、食堂か。
食堂でもビールくらいは置いているだろうと思うものの、店内は暗い。店のドアを開けて、恐る恐る開けて声をかけてみる。
「こんにちは。やってますか」。
すると中から、「いいですよ~」と声が聞こえる。
助かった。これで干からびなくて済む。
「でも、今停電しているんですけど、いいですか」。
「え?生ビールは飲めますか?」
そこが問題だ。
「サーバーは大丈夫ですけど、エアコンは効きません」。
なるほど、それは厳しいが、背に腹は代えられない。
ボクは店に入って、暗い店内に腰かけた。確かに店内は蒸し暑かった。もしかすると、店の外よりも蒸しているかもしれない。
店内を眺める。店の両端が広くて、中央は厨房がある関係で狭い。ちょうど鉄アレイのような店内だった。
壁に整然と貼られたメニューを見ると、ここが食堂ではなく居酒屋であることが分かる。メニューは豊富だ。
魚、肉、炒めものからもんじゃ焼き、ラーメンまで幅広い。
さて、とりあえず、ビールをいただこう。
厨房の奥で仕込みをしていると思しきお兄さんに「生ビールね」というと、奥からジョッキを持ってお兄さんが現れた。
そして、開口一番こんなことを言った。
「今日は開店記念日なんですよ。8周年ということでビールは1杯88円です」などという。
え?なんてラッキーなのだろうか。エアコンはついていないが、運はついていた。
ビールは正真正銘、サッポロ黒ラベルである。
オーソドックスなジョッキで出てきた。
つまみに岐阜名物「鶏ちゃん焼き」。文字通り鶏肉を味噌や醤油で焼くという郷土料理だ。
岐阜にくるとボクはこれが食べたくなる。素朴だが、逆にそれがおいしい。
ホルモン焼きの鶏肉版。
ボクは次から次へとビールをおかわりした。なにしろ、1杯が88円。10杯飲んでも880円である。
3杯目を飲んだ頃、いちいち店員さんを呼ぶのが気の毒になり、一回に2杯いただくこととした。
こうして飲んだビールは合計6杯。それでも僅か528円だった。
ちなみに肴は「鶏ちゃん焼き」のあとは「トマトスライス」(390円)のみ。
お会計は1,294円。
ビール6杯飲んでこの値段。
しかし、嫌な客だったんだろうな。
後で知ったのだが、この店は「中華そば」が有名だとか。ボクは名古屋に戻ってきしめんを食べたかったので、「中華そば」は頼まなかったのだが、それがちょっとした心残りである。
とはいいながら、お値打ちな昼飲みとなった。サービス価格とはいえ、「居酒屋さすらい」史上最安のビール価格である。
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