せっかく。
わたしが、マレー半島を行こうと思ったのには、そんな不謹慎な動機だった。とりたてて、マレー半島に興味があった訳では実はない。
だが、陸路で往復するか、それとも飛行機を使うかでおおいに悩んだ。往路は東側、復路は西側を通れば半島をくまなくみることができるし、だいいちお金も減らない。だが、またしても膨大な時間がかかってしまうことになるだろう。わたしは、このバンコクに来るまで、半年間という時間を費やしてしまった。時間の制限はないが、マレー半島でまたしても沈没してしまう気がしたのだった。
マレー半島の地図を広げると、様々な町の地名が現れた。
さて、どこに行ってみようか。だが、あまりどこに行ってみたいという気がおきない。しばらく眺めていて一番惹きつけられたのはペナン島だった。
ペナン島に行ってみようか。
それならば、シンガポールまで飛んだ方が早い。評判の高いシンガポールエアに乗るのも悪くはない。わたしは、カオサンの旅行代理店に足を運び、早速翌日にフライトするSQの早朝便をブッキングした。行き先はもちろんシンガポールだ。
だが、1990年代後半の当時にあって、日本人の最も乗りたい飛行機会社であったSQは、わたしにとって散々なフライトだった。
離陸後のドリンクサービスで女性のキャビンアテンダントはわたしの「ビア」という要求を3回も聞き直し、早朝7時のまだ眠気が充満する機内を一瞬緊張させた。
また、シンガポールに到着し、ターンテーブルに流れていたバックパックがものの見事に開いており、急いで中を確認すると、やはりものの見事にわたしの半裸の画像1枚が保存されているデジタルカメラが消えていた。わたしは急いでクレーム係に「カメラを盗られた」と申告したが、高校時代の親友のお母さんにそっくりなクレーム係は「うちの責任ではない」という横柄な態度をとるばかりでなく、シングリッシュとも揶揄される独特な英語を早口にまくしたて、わたしが理解できないところを見るやいなや、隣にいる同僚と思しき女性に小馬鹿にしたような態度で目配せをした。
結局、延々1時間、わたしは粘りに粘って、クレーム手続きの書類を貰い、ようやく空港を後にすると外はもうとっぷりと暮れていた。夜の宿探しは億劫だった。わたしは脱力しそうな徒労感に見舞われた。
わたしが、マレー半島を行こうと思ったのには、そんな不謹慎な動機だった。とりたてて、マレー半島に興味があった訳では実はない。
だが、陸路で往復するか、それとも飛行機を使うかでおおいに悩んだ。往路は東側、復路は西側を通れば半島をくまなくみることができるし、だいいちお金も減らない。だが、またしても膨大な時間がかかってしまうことになるだろう。わたしは、このバンコクに来るまで、半年間という時間を費やしてしまった。時間の制限はないが、マレー半島でまたしても沈没してしまう気がしたのだった。
マレー半島の地図を広げると、様々な町の地名が現れた。
さて、どこに行ってみようか。だが、あまりどこに行ってみたいという気がおきない。しばらく眺めていて一番惹きつけられたのはペナン島だった。
ペナン島に行ってみようか。
それならば、シンガポールまで飛んだ方が早い。評判の高いシンガポールエアに乗るのも悪くはない。わたしは、カオサンの旅行代理店に足を運び、早速翌日にフライトするSQの早朝便をブッキングした。行き先はもちろんシンガポールだ。
だが、1990年代後半の当時にあって、日本人の最も乗りたい飛行機会社であったSQは、わたしにとって散々なフライトだった。
離陸後のドリンクサービスで女性のキャビンアテンダントはわたしの「ビア」という要求を3回も聞き直し、早朝7時のまだ眠気が充満する機内を一瞬緊張させた。
また、シンガポールに到着し、ターンテーブルに流れていたバックパックがものの見事に開いており、急いで中を確認すると、やはりものの見事にわたしの半裸の画像1枚が保存されているデジタルカメラが消えていた。わたしは急いでクレーム係に「カメラを盗られた」と申告したが、高校時代の親友のお母さんにそっくりなクレーム係は「うちの責任ではない」という横柄な態度をとるばかりでなく、シングリッシュとも揶揄される独特な英語を早口にまくしたて、わたしが理解できないところを見るやいなや、隣にいる同僚と思しき女性に小馬鹿にしたような態度で目配せをした。
結局、延々1時間、わたしは粘りに粘って、クレーム手続きの書類を貰い、ようやく空港を後にすると外はもうとっぷりと暮れていた。夜の宿探しは億劫だった。わたしは脱力しそうな徒労感に見舞われた。
典型的な、預け入れ荷物からの空港関係者による盗難をかまされたねえ・・・。
こればっかりは、堅固なスーツケースとか、開けにくい鍵とか、開け放題のバックパックでは対処できない方法でしか防御できないから、「盗られそうなものは、手荷物として機内に持ち込む。」しか防ぐ方法はないよね。
しかし、バックパックに「いいもの」は入ってないだろうと最初から思われてスルーされることも多いだろうに、アンラッキーだったねえ。
それにしても、盗られた後の航空会社の対応も、これまた非常に腹立たしかったね。
俺もシンガポールでは、こちらが英語をさして理解できないと分かったにもかかわらず、構わず鬼のように早く、難解なまま英語をしゃべり続ける人達には閉口したなあ。
例えネイティブであっても、こちらが分からなければ理解できるように、ゆっくり、簡単に喋ってくれる人も多いのに、
「お前らには優しさとかはないのかよ!」と自分の英語力をたなに上げてそんな風に思ったもんだよ。
さて、こんな時の宿さがしは、すこぶる面倒でしんどいけど、果たして師はどんな宿に泊まったんだろうね。
思えば、早朝のビールからリズムが狂っていったんだ。
そういう躓きが後々まで尾をひく典型的な例になってしまったよ。