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弊社、社長が思わぬ行動に出た。
普段、「村役場」を中心に、御徒町界隈にしか出没しない酒飲みが、アキバに進出したからだ。いや、たまに社長は、「村役場」以外の酒場に、浮気することもある。けれど、頑なにアキバの酒場には見向きもしなかった。もっとも、アキバに適当な酒場はないが、それでも、昭和通りには何軒かある。
社長は、その昭和通りにある、総武線ガード下「養老乃瀧」に、我々を呼びだしたのだ。
「養老乃瀧」。
嫌いではないが、すすんでは行かない。
拙ブログでも、登場したのは、僅か2回だけ。
西馬込と船橋である。
何故、社長が、「養老乃瀧」に行ったかは不明だ。
酒場の基準として、最も高いプライオリティが、ビールの運ばれてくる速さ。これだけ、クリアしていれば、社長は、その店の常連となる。その点、「村役場」のビール出しは断然早い。瓶ビールはオーダーから15秒でテーブルに到着する。この早業によって、月々に15万円程度の、お金を落とす。
そのビール出しの早業に、「養老乃瀧」がどのように魅せてくれるか。ともかく、見ものだった。
だが、結果は、それほど、素早い対応ではなかった。
瓶ビールは、秒ではなく、分の領域で、テーブルに届けられた。けれど、社長は不満そうな顔を見せていない。ボクの疑問は、ますます膨らんだ。
では、何故社長は、この店を選んだか。
他に、考えられるのは、瓶ビールの種類とコストだろう。ご存知、「養老乃瀧」は、サッポロのOEMでプライベートブランドを採用しており。その、普段見かけないPBに社長の琴線が触れた可能性は高い。「養老ビール」は大瓶470円。少なくとも、「村役場」よりも安い。多分、社長の変節は、この線が強い。
「養老乃瀧」は賑わっていた。ホワイトカラーのサラリーマンが多く、ここがアキバとは思えない。注文は時間がかかり、少しストレスを感じる。そのオペレーションは、ぎこちなく、ともすれば危うい。
社長の変節が分かったのは、2杯目のチューハイを頼んだ頃だった。店員さんのほとんどが、外国の人で、厨房との連携がうまくできていないにも関わらず、社長は、機嫌悪くなることなく、ニコニコしていた。そのニコニコが、一際目立って振りまかれる時があった。美人のお姉さんにオーダーする際、機嫌よく、くだらないジョークを交えつつ、相好を崩した。そんな機嫌のいい社長を見るのは初めてだった。
しばらくして、また美人の子にオーダーする社長を見て、ピンときた。
もしかすると、社長は、この美人の子が目当てなのではないかと。その彼女は、社長のしょーもないジョークにただただ、首を傾げた。もしかすると、彼女は外国の人かもしれない。
会計の段になって、店員さんに聞いてみた。
「お店の店員さんは、皆さん雰囲気がいいですね」
すると、レジを動かしながら、その店員さんは、こう言った。
「ほとんど、ミャンマー人だよ。みんなファミリー」
そうか、あの美人さんも、ミャンマーの人か。道理で、社長のくだらないジョークが通じないわけだ。
しかし、社長の弾けるような笑顔。初めて見た。
案外、分かりやすいんだ。社長は。
さて、社長のことは、このブログでも度々出ているので、今更説明する必要もないが、こんな人です。
今回、ほとんど、酒と肴について書いていません。こんな回もあっていいかな。
「一軒め酒場」。養老グループだよね。
最近は、各チェーンが業態や看板を変えて、営業しているので、その繋がりが分かりにくい。
使い勝手はいいね。