
うん、空気がうまい。
小型バスが到着したところは山の上に設けられた観光用の農園、「伊賀の里モクモク手づくりファーム 」。
なんだよ。モクモクって。
忍者の煙幕?山の上で雲海でも出るって?モクモクと。
なんか一言付け加えたくなるんだな。「伊賀の里手作りファーム」じゃ、物足りないんでしょ。
だって、「成田ゆめ牧場」だって、わざわざ「ゆめ」とか付けてるじゃない。
千葉県の「マザー牧場」は羊がいて、ジンギスカンを食べられるのだが、この「伊賀の里モクモク手作りファーム」はどうやら豚がいるらしい。だから、「BuuBuuハウス」だって。豚肉のBBQって、それだけでワクワクしてくる。
もしかしてモクモクってBBQの煙と忍者の煙幕をかけたとか。
どっちにしても名前がなげーよ。
まぁ、どうでもいいんだけれど、この「BuuBuuハウス」ではクラフトビールが飲めるらしい。もちろん、このファームで醸造しているらしい。このワクワク感。いっそのこと「伊賀の里ワクワク手作りファーム」にしたらどうだろう。
「モクモク地ビール」は1995年の創設だというから、地ビールの初期メンバーといえる。生き残っているということは評価が高いということなのだろう。
しかし、いずれにせよ、豚肉とクラフトビールとも、できたての新鮮なものをいただけそうである。
ログハウス調の店内はすっかりと広い。いいじゃない、この雰囲気。ドイツのビアレストランみたいで。
席に着くと店員が運んできたのが豚の生肉。
「ロース」と「カタロース」に「あらびきウィンナー」、そしてこれも新鮮な野菜たち。
自給自足の肉と野菜、それにクラフトビール。ビールは「ゴールデンピルスナー」をジョッキで。
男4人の座席は、肉の皿が置かれた瞬間、一斉にグリルに肉が移動し、一瞬のうちに白煙が上がった。そうモクモクと。
いや、待て。野菜も忘れるなよ。さすが冷静沈着なY崎さんが声を発する。そしておもむろにY崎さんは、S武さんに「豚だからしっかり焼かなきゃね」と声をかける。こうして小見川の暴れん坊は諫められた。
ボクは速攻でご飯を注文。肉の迎撃態勢を整えた。
ボクは普段、家ではご飯を食べながらビールを飲むのである。
じゅわじゅわと鳴る鉄板の音に、野獣のような男どもが固唾を飲んで、いやビールを飲んで見守る。ボクの大ジョッキはもう残り3分の1だ。
ご飯の到着で体制を整えたと思ったが、早計だった。ビールをもう1杯用意しておかなければ。
肉をひっくり返し、入念に焼いたとの判断がY崎さんから下された瞬間、4人の箸は手塩をかけたそれぞれの肉をつまんで自らのタレに沈めた。そして矢継ぎ早に口に持っていき、しっかりと噛んだ。柔らかいロース。口に広がる肉汁。
もう何も言葉が出てこなかった。なんという旨さだろう。
その後はもう覚えていない。なにしろ、ボクらは食べに食べた。1人前をきれいさっぱり食べ終えると、S武さんが追加した。
「トントロ」、「バラ」、「ひれ」。
そしえ極め付けが「ぐるぐるウインナー」。長いウィンナーが蚊取り線香のょうにぐるぐると巻かれている。
まさに豚のオンパレード。
「トントロ」、マジでうまい。
「バラ」、いつも食べている立ち飲み屋の「豚バラ」が霞んで見える。
やっぱり豚肉の旨みは最高だ。牛に劣っているなんて誰が言ったんだ?
ビールだって最高だった。
クラフトビール特有のフルーティ感が心地よい。嫌なエステル臭がないということは、タンクのビールは小気味よく回転しているのだろう。
ボクは年甲斐もなく、ご飯までお代わりしてしまった。そして、年甲斐もなく「もう食べられない」と満腹になるまで食べてしまった。
食べている途中で、みんなの顔は脂でギトギトしてきた。
でも、みんな幸せそうな顔をしていた。
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