美栄橋駅から県庁前駅まで歩いてみようと思った。
この日の那覇は昨日より、暑かった。
予報は夏日を告げていた。
とにかく、陽射しが強い。
県庁前駅の手前で、少しずつ店が増えてきた。
ちょっと道を逸れて散策してみるか。
すると、「沖縄そば」の看板が見え、店内から湯気が出ている。もしや、「沖縄そば」の路麺か? と思い、近寄ってみると、まだ準備中だった。
残念。
しばらく行くと、また国際通りに出たので引き返し、駅のほうに戻ると、一軒の喫茶店を見つけた。
「茶暮里」とかいて、「さぼうる」と読ませるらしい。
神保町の名店と同じ店名。
ちなみに「サボウル」とはスペイン語で「味」という意味らしい。間違っても「サボる」ではない。
古そうな店構え。お店は一期一会。入ってみようか。
店内は広く、4人掛けテーブルの応接が入口手前にあり、若者2組がくつろいでいる。お店の奥まで進むと、いかにもレトロな雰囲気のカウンターが現れ、一人の男が定食のようなものを食べていた。
その男の席から一つ空けて座ろうとしたら、お店のママがテーブルを勧めてくれた。その言葉に甘えることにした。
さて、どうしようか。
那覇ではどういうコーヒーを淹れてくれるのかと興味を持ったけど、いかんせん暑い。アイスコーヒーはつまらないし、ここはちょっとジュースでも飲むか。
ジュースはマンゴーとグァバ。
マンゴーはよくあるし、ここはグァバで攻めてみよう。
ママと目があって、「グァバジュースください」と告げた。
「グァバ」で通じるか、ちょっと心配だった。
自分よりちょっと上の世代って、グァムのことを「ガム」と言っていた。なので、もしかすると「ガバ」と言った方が通じるかと思って、逡巡した。
心配は杞憂だった。
やがて、赤いジュースが運ばれてきた。ちょっと飲むと、南国の味がした。
ありきたりの表現。
昔、子どもの頃、夏になるとマクドナルドで期間限定のマックシェイクが販売された。南国のフルーツを週替わりでラインナップするのだが、その中に「グァバ」があった。とても薬っぽい味がしたのを覚えている。あれは人口甘味料の味だったのではと今になって思うし、あの当時、多くの人は「グァバ」なんて知らなかっただろう。今でも、「グァバ」がどんな形をしているフルーツかも知らない訳で、「グァバ」を初めて味わうに等しい。けれど、これも恐らくパックのジュースだろうから、正解は分からない。
ママはこぎれいで優しそう。
きっと、このオフィス街で、ずっと支持されてきたのではないだろうか。
いいお店だ。
まるで砂漠のオアシス。
また、歩いて行けそうである。
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