雲の上には宇宙(そら)

 雪国越後にて、30年ぶりに天体写真に再チャレンジ!

系外銀河を 「フルサイズで長焦点」 検証結果は?

2019年04月29日 | 機材
昨年6月にフルサイズカメラ EOS6D(HKIR改造)を衝動買いしました。
それまでのAPS-C(Cooled60D)カメラならモザイク分割撮影していた
アンドロメダ大銀河も一度に撮影可能だし、他にもきっといろんないいことが ・・

ところが実際に使いだすと、そう良いことばかりではありませんでした。
確かに写野が広くなったことのメリットはあったのですが、
検証記事 → 「フルサイズ(EOS 6D) VS APS-C(Cooled60D) Part1」
6D はフルサイズで高画素化するのではなく、1ピクセルのサイズを大きくしたことにより、
むしろ分解能が低下した という検証結果も。
検証記事 → 「画素数 と ピクセルサイズ (フルサイズ VS APS-C) part 2」

もう少し考えてから購入すべきだったかと思いながら
春の系外銀河シーズンを迎えました。
当然、見かけの小さい系外銀河をフルサイズで撮ることのメリットは見つからないなかで、
出した対処方法はできるだけ長焦点にして撮るという力技でした。
この力技の狙いは
フルサイズで小さくなる分を長焦点でカバーする
長焦点で拡大する事により、小さな銀河の描画画素数を増やす
といったものだったのですが、果たして結果はいかに?

以前 VC200L+RedHD(合成f=1,386㎜) と APS-C(Cooled60D)で撮ったものと、
レデューサーを外したVC200L(f=1,800㎜) と フルサイズの6Dで撮ったものを比較してみました。

(左)が VC200L と 6D  (右)が VC200L+Red と Cooled 60D
上段はノートリミング画像で
下段は75%に縮小した後、同じ画素数で切り出しものです。

■ NGC 2403 (きりん座) ■
(左) VC200L EOS 6D : 15分×5・3分×6(総露光 93分) ISO6400 LPS-D2 2019/2/6・7am
(右) VC200L+RedHD Cooled 60D : 20分×6・5分×3(総露光135分) ISO3200 LPS-D2 2018/3/10
出だしから長焦点+フルサイズがあきらかに負けております
(注) この夜は雲があり、ガイドも安定しませんでした

■ トリオ銀河 (しし座) ■
(左) VC200L EOS 6D : 15分×5・3分×8(総露光 99分) ISO6400 LPS-D2 2019/3/9am
(右) VC200L+RedHD Cooled 60D : 20分×5・5分×4(総露光120分) ISO3200 LPS-D2 2018/3/13・14am
どちらが良いかといわれても ・・微妙

■ M51 子持ち銀河 (りょうけん座) ■
(左) VC200L EOS 6D : 15分×8・3分×8(総露光120分) ISO6400 LPS-D2 2019/3/9am
(右) VC200L+RedHD Cooled 60D : 20分×4・5分×4(総露光100分) ISO3200 LPS-D2 2018/3/14am
色の好みで判定がわかれるかも
* レデューサーを外してもまだ フルサイズの方が広い範囲を写せることがわかります

■ NGC 2903 (しし座) ■
(左) VC200L EOS 6D : 15分×7・3分×7(総露光126分) ISO6400 LPS-D2 2019/4/4
(右) VC200L+RedHD Cooled 60D : 20分×5・5分×4(総露光120分) ISO3200 LPS-D2 2018/4/20
・ ・ ・ ・

■ M 101 (おおぐま座) ■
(左) VC200L EOS 6D : 15分×8・3分×8(総露光144分) ISO6400 LPS-D2 2019/4/5am
(右) VC200L+RedHD Cooled 60D : 20分×5・5分(総露光105分) ISO3200 LPS-D2 2018/4/13am

■ M63 ひまわり銀河 (りょうけん座) ■
(左) VC200L EOS 6D : 15分×8・3分×8(総露光144分) ISO6400 LPS-D2 2019/4/5am
(右) VC200L+Red Cooled 60D : 20分×6(総露光120分) ISO3200 LPS-P2 2017/2/28am
* 光害カットフィルターも違っています

優劣判定のできない画像が多いのですが、裏返して言えば
より長焦点にしてガイド精度や露光時間のしきいを上げたにもかかわらず、
フルサイズカメラで 芳しい成果が得られなかった
ということになります。

その理由について
先日 Ryutaoさんの HP「天体写真の世界」 に掲載された
系外銀河の撮影方法 の記事に答えがありそうです。
記事中の 「焦点距離とセンサーサイズについて」 の項に以下のように書かれています。
星雲や一般撮影では、フルサイズセンサーの方がダイナミックレンジやノイズの面で有利です。
従って、系外銀河の撮影でも、「1200ミリと1.0型センサーでこれだけ写るなら、
35ミリフルサイズと口径30センチで3000ミリの望遠鏡ならもっと写るのでは?」
と考えてしまうのも不思議ではありません。
しかし実際には、上空の大気の揺らぎや赤道儀の追尾精度(オートガイドの反応)の影響を受けるので、
3000ミリで撮影した画像の方が像が甘くなりがちです。
日本の気流や赤道儀の追尾精度を考えると ( 途中 略 )  望遠鏡の焦点距離を伸ばすよりも、
カメラのセンサーサイズを変更する方がシャープな画像を得やすいと思います。

ということは 「フルサイズで長焦点」の作戦は見直しが必要か?

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シィーングに恵まれれば長焦点の成果も期待できるのでしょうが、
そもそも わが越後の夜は すっきりと晴れてくれません。
孫たちがそろって10連休がスタート、じぃじのスタミナが持つか

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コメント (4)
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