栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

客を逃がす文章、売れる文章

2009-05-28 00:16:48 | 視点
 つい数日前、ダン・ブラウン著「天使と悪魔」を読んだ。
実に面白い。作品としての面白さは「ダヴィンチ・コード」より上だろう。
 ところで、「天使と悪魔」を読みながらあることに気付いた。
ダン・ブラウン作品の読みやすさだ。
 内容はキリスト教、ヴァチカンの秘密に関することで、どうかすると難解な小説になりがちだが、そうはならず、とても読みやすく、かといってレベルを下げることなく、上手に仕上げている。
 著者の文章力なのだろうが、それ以上に拍手を送りたいのは越前敏弥氏の翻訳である。
翻訳物によくありがちな外国語独特の妙な言い回しがなく、日本語としてとてもこなれている。そのことが作品の理解力を助けているのは間違いない。
「ダヴィンチ・コード」より、日本語版2作目の「天使と悪魔」の方が翻訳の仕上がりはよりいいように感じられたが、原文を読んでいないので原作の出来との比較はできないが。(日本での出版とは逆で、ダン・ブラウンは「天使と悪魔」の方を先に書いている)

 このように読みやすく、分かりやすい文章は内容の理解を大いに助けてくれる。
ところが、我々の周囲には見た目も悪く、読みにくくて分かりにくい文書があまりにも多い。

 それでもブログや個人的メールならまだいい。
しかし、企業のパンフレットや対外文書、プレゼン資料となると話は変わってくる。
 誤字・脱字だらけの文字、つたない文章、おかしな言い回し、意味がよく分からない文章は商品の売れ行きに影響する。
内容がきちんと伝わらない文書は二度と顧みられることはない。


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