平成22年4月から改正施行された労働基準法により、1時間単位での年次有給休暇(以下「時間単位年休」という)の取得が可能となっている。
ところで、この制度を導入するには、労使協定を締結しておかなければならないことはご存じだろうか。
そもそも年次有給休暇は、労働者の心身の休養を図ることがその目的であるので、1日単位で取得させるのが原則だ。ただし、労働者が半日単位での取得を希望し使用者がこれに同意した場合には、年次有給休暇取得促進の観点から半日単位で付与することは差し支えない(昭63.3.14基発150号)として扱われてきた。
この「原則1日単位、労使の合意により半日単位も可」の基本原則は、改正労基法でも変わっていない。
時間単位年休制度は、この基本原則の“例外”として位置づけられている。労働基準法第39条第4項が、時間単位年休の導入に際して、労使協定の締結を求め、「年間5日以内」との上限も設けているのは、そういう意味があるのだ。
これは、年次有給休暇の本来の趣旨を損ねないように、むしろ労働者の権利を守るために設けられた措置と言える。
したがって、時間単位年休を制度として適法に導入していない会社では、仮に労使双方が個別に合意したとしても、時間単位年休は取得させられない。取得させるとしたら、労基法上の年次有給休暇とは別の有給休暇(例えば「褒賞休暇」といった類のもの)として与えるしかない。
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