わが国における男性の育児休業取得率は、年々増えてきたとは言え、令和2年度で12.65%(厚生労働省「令和2年度雇用均等基本調査」(令和3年7月30日公表)より)と、未だ伸び悩んでいる。
さて、そう聞いたところで、これの何が問題なのか、疑問に思う人は、男性ばかりでなく女性にも少なくないようだ。
では、そのような疑問を持つ人に問いたい。
なぜ日本の男性は育児休業を取らないのか。
その理由としては、「人が足りなくなる」、「出世に響く」、「上司が認めない」等が挙げられる。
しかし、考えてみれば、これらは、女性が育児休業を取るに際しての障害にもなるはずだ。 それなのに、男性に限って育児休業を取れない理由となるのだとしたら、その根底に“男女差別”が存在していると言わざるを得まい。
育児に係る負担は、本来、夫婦で分かち合うべきものだ。 さらに言えば、次世代を担う子どもらを育てるのは“社会全体”に課せられた使命とすら言えよう。
それが、現状は、その負担が“妻”に偏っていることが問題なのだ。
これを解決することで、女性の出産意欲や継続就業意欲が、ひいては社会全体の活性化が期待できる。 国は、男性の育児休業取得率向上を、その“第一歩”と位置づけているのだ。
男性の育児休業取得を増やすためには、まずは男女差別の意識を払拭することが肝要だ。
特に年配の経営者は、(内心までは簡単に変えられないとしても)少なくとも公の場でそれを口に出すのは控えなければならない。
社内の意識を変えるために、厚生労働省の「イクメン企業アワード」「イクボスアワード」へのエントリーを検討するのも一策だろう。
また、そもそも現行の育児休業について、きちんと理解できていない向きもあるようだ。
「育児休業は必要とする労働者が申し出るだけで取れるもので、会社(上司)が認めるものではない」という基本事項から始まり、「雇用保険制度から育児休業給付金(一定の支給要件あり)を受け取れる」、「月末時点で育児休業中であればその月の社会保険料が免除となる」など、育児休業取得促進に資する制度が既に設けられている。
加えて、令和4年10月1日からは、「産後パパ育休(出生時育児休業)」も新設される。
まずは、これらの制度をその趣旨とともに正しく理解し、活用するところから始めたい。
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