女性従業員が妊娠した場合、その担当業務を変更すべきかどうか思案することがあるかも知れない。
この場合、まず考えなければならないのは、法令により配置転換が義務付けられているものがあるということだ。
例えば、女性労働基準規則第2条は、妊娠出産に有害であるものとして「ボイラーの取扱い」など24項目を指定し、妊婦の就業を禁じている。 これらの業務に就いている者については、妊娠が判明した時点で他の業務に変更させなければならない。
また、妊婦本人が求めてきた場合は、他の軽易な業務へ転換しなければならない(労働基準法第66条第3項)。
この場合、本人が希望する業務に就かせることを原則とするが、新たに軽易な業務を創設してまで与える義務を課したものではないとされている。
さて、法令の定めも本人の請求も無い場合に、会社が妊婦の配置転換を命じられるかというと、それは注意を要する。
と言うのも、特にそれが本人の希望しない配置転換であった場合には「妊娠したことを理由とする不利益取扱い」(男女雇用機会均等法第9条第3項に違反)となり、不当と断じられるリスクがあるからだ。
そういったトラブルを予防するためには、会社が本心から本人を気遣い特段の他意が無いのなら、やはり、配転発令前に本人に打診してみるべきであろう。
その手間を惜しまなければ、違法な配置転換をしなくて済み、また、その折に、就労時間や育児休業等に関する本人の希望も聞いておけるので要員計画の参考にもできる。
さらには、そういう会社の姿勢は、他の面においても、従業員からの信頼を得ることに寄与するに違いない。
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