税制適格退職年金(適格年金)制度は、平成24年3月31日をもって廃止される。他の制度への移行には少なくとも半年はかかると言われるので、もし、まだ移行手続きに着手していない会社があったら、即刻、今すぐにでも取り掛かるべきだ。
適格年金廃止後の受け皿としては、「確定拠出年金(日本版401k)」・「確定給付年金」・「中小企業退職金共済」等があるが、どれを選択するにしても、自社の退職金制度を設計しなおさなければならない。その際には、現行の適格年金は殆どが予定利率を5.5%と設定していたところ実際の運用ではそれを大きく下回っていることが推測できるため、その「積立不足」をどう解消するかも同時に考える必要がある。
また、退職金制度を変えるのだから、従業員にとっては不利益変更になるケースがほとんどだろうし、従業員間で不公平が生じることもありうる。そういったことについて、労働組合や従業員個々人に説明し、納得してもらう必要があるのだ。
各種規程を変更したり、それを管轄省庁に届け出たり、あるいは同意書を取り付けたり、という事務手続きも時間を要するが、それよりも、従業員に熟慮してもらう時間を与え、経営者側も説得の労を惜しまないことが後のトラブル防止のためには重要だ。
退職金制度は、従業員の長期的な観点での働き方にも影響する、すなわち経営ポリシーに関わるものだ。適格年金制度の廃止は、単に税制上の優遇措置が無くなるというだけの話ではなく、退職金制度の変更を伴う大問題であることを認識し、制度の変更には細心の配慮をもって当たらなければならない。
だからこそ、移行手続きの着手を急がなければならないのだ。
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