声の仕事とスローライフ

ただ今、仕事と趣味との半スローライフ実践中。遠方の知人友人への近況報告と、忘れっぽい自分のためのWeb忘備録です。

Eテレ・ドキュメンタリー

2018-12-09 07:34:14 | Diary
『キャメラマンMiyagawaの奇跡』は、

映像に対してド素人の私にとっても興味深い内容だった…。

宮川一夫氏の作品で私が記憶しているのは

『羅生門』と
『雨月物語』くらいだが、

どれも映像云々というより、
ストーリーを追うだけで

これまで
“映像”そのものに注目してみた事がなかった…



が、

昨夜、このドキュメンタリー番組をみて

それらの映画が、

宮川一夫氏の映像なくしては存在しなかったのだ…

という事を知り

1950年代に、黒澤明監督や溝口健二監督などの名だたる監督たちと一緒に仕事し、

それらの映像を撮り続けた“キャメラマン”宮川一夫氏の偉業と功績を讃えた番組姿勢に、深く共感した。



雨月物語…の幻想的なまでに美しい波間をゆく船の場面は滑らかで、

その裏側で、

どれだけの苦労があったのかさえ考える余裕を観るものに与えない…


宮川氏の映像は、まるで日本画のようだ…


番組では、氏が子供時代から水墨画に親しんでいた事を紹介していたが、

モノクロームの濃淡は、
いくつもの色を施した映像よりも、ずっと幻想的で印象的だ。


『山椒大夫』での安寿の入水シーンの映像で
実際に“墨”を使っていた事にも驚いた。


『無法松の一生』での
画質を落とさない方法を模索してのオーバーラップのさせ方も、

今では考えられないほどの創意工夫がされている。


“勧進帳”と呼ばれるその計画図に痕跡が残されていたのも、興味深い。



後半で何度か繰り返し紹介していた雨月物語の、

主人公が自宅に帰ってくる場面での“映像史に残るパーン”では、

( あぁ、そうだったのか!)

…と、

そのキャメラワークの技に唸ってしまった!


今では、
簡単に撮れることでも

技やセンス、映像美という事で見れば、
是枝監督が言うように

“とても、かなわない”

のだという。

ちなみに、

キャメラマンMiyagawaの講義を学生時代に受けていたという我が夫に

番組の事を伝えると珍しく返信してきた。


『そうだよ 離れ瞽女おりん のカメラマン 依田先生 脚本家 と仕事する事が多かった。 2人共 大阪芸大の 教授だ。この人の授業だけは 真面目に出ていたよ。 撮影時のエピソードが 毎回 楽しみだった。 授業というより つまり 撮影テクニックなどの事は ほとんど聞いた事がない。 まぁ この人の講演会だったなぁ』



帰宅したら、

夫から宮川先生の講義の内容を聞き、

もう一度『雨月物語』をじっくり味わいたい。


ささやかな楽しみが、また1つできた。

(^.^)










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