声の仕事とスローライフ

ただ今、仕事と趣味との半スローライフ実践中。遠方の知人友人への近況報告と、忘れっぽい自分のためのWeb忘備録です。

グノシエンヌ第3番

2020-10-07 08:48:00 | 音楽
“コンタクトレンズ”のCMで

綾野剛さんがピアノの横で歌っている。

もしサティが生きていたら、

自分の曲が、あのように使われる事をどう思っただろうか…?


演奏会でサティを弾こうと思っているピアニストの皆さんは、

どう感じているのだろうか…

《CMで使われている名曲コンサート》

と銘打って演るのなら、かえって受けるかもしれないが、

最近、あのCMが流れる度に、

そのうち自分も、つられて歌ってしまうのではなかろうか…

と、不安になる。


グノシエンヌ第3番は、

“戸惑い”の場面によく似合う。


以前、
NHKのプレミアムカフェという番組で

芥川龍之介と谷崎潤一郎の《ラブレター》を特集していたが、

そこでもBGMとして使われていたように記憶している。

そこはかとないアンニュイな感じがピッタリだった。


芥川文学も谷崎文学も今の時代では生まれない、と著名な文学者は言っていたが

当時の小説家の考え方やライフスタイルには、
不倫は当たり前、女性蔑視もでも何でもありだ。

妻も作品のためなら…と、
暗黙の了解なのか、見て見ぬ振りをする。


今のように、
直接の利害関係がない有名人の生き方でさえ、SNSで白黒をつけたがる現代人には理解し難いものがある。

もし現代に芥川龍之介や谷崎潤一郎が生きていたらどうだろう…

そう考えると、

あの時代だから、よかったのだ…
と妙に納得する。


文豪たちの私生活にスポットを当てた番組では、

芥川龍之介の妻、文さんが夫の不貞を知りながらも、
結婚前に夫から貰ったラブレターを後生大事にしていた。

その行には、
切なくて思わず涙したが…


谷崎潤一郎が妻に宛てた手紙が紹介されたときには、

あまりの身勝手さに、

(妻は小説を書くための道具かよ)

と、強い憤りを感じたものだ。


“女は嘘をつく”を正しく言い換えるなら

“女は心で泣き、表面上は笑顔を装う”

と言うべきではなかろうか…。


そして、
妻たちに、そうさせた夫たちは

多くを虜にする優れた作品を生み出した小説家であり、

とっても魅力的で、

尚且つ、

腹が立つほど身勝手な人たちなのだ…。



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