声の仕事とスローライフ

ただ今、仕事と趣味との半スローライフ実践中。遠方の知人友人への近況報告と、忘れっぽい自分のためのWeb忘備録です。

Halの選んだ日

2023-01-24 21:19:00 | 大型犬との生活
午前中は春のようなポカポカ陽気で、
動けないHalをベッドごとヨッコラショっと窓際に移動させて、

youtubeでHalの好きなJAZZを聞きならがのんびりと過ごそう…と、

いつものようにコーヒーを片手に本を読むつもりだった。

が、
今日は様子が違った。

Halの異変は昨夜から続いていた。

2時間に1回の痙攣だった間隔が、だんだんと短くなり、

午後になって天候が急変する頃には、
1時間に1回になった…

その度に私は、
Halの身体をさすって「大丈夫だよ」と、声をかけ続けた。

ちっとも大丈夫なんかじゃない。
もう尿毒症で、どうにもならないほど弱っているのに…

私に出来ることといえば、
Halにいつものように話しかけることと
身体をさすってやる事くらい…。

なんて無力なのだろう。

夕方になって雪が舞い、
ますます風が吹き荒れる時間になると

意識が混濁してきているのか
痙攣するたびに口をあけて苦しそうにグワっと声を出しながら嘔吐する以外は、

ようやく息をしている状態だった。

(今日なのかもしれない)

初代のウォーリーの時のことを思い出した。
もう25年前の2月2日、
昼間はポカポカ陽気で、夜は今日のように寒かった。

今日の昼間、
私が、ちょっと目を離している時に

珍しくHalがワンワン、と甘えたような高い声で私を呼んだ。

あれはきっと、
「そばにいて!」というサインだったのだ。

Halは、もう時間がない事を知っていて
私に離れないでほしいと訴えたのだ。

もう1つ、確実に今日だろうと思った理由があった。

夕方になって帰ってきた夫が、
いつものようにHalに声をかけた時だった。

既に意識はなくなっているように見えたHalが、
突然、しっかりとした眼差しで夫を見た。

いつものような優しい目だった。

それに応えるかのように
「Hal、ありがとう」と夫が言った直後に

納得したような顔をして、再び昏睡状態に陥ったように思えた。

仕事の関係で夫と私が家にいられるのは、
夕方以降と朝8時過ぎまでだ。

Halの病気が判明してから今日まで
スケジュールをやりくりして、
必ずどちらかが日中もHalのそばにいるように努めてきたが、

Halが望んだのは
夫と私が近くにいる時だったのだ。

午後8時20分。

最期は、本当にスっと消えるような立派な旅立ちだった。

Halは最期までイケメンだった。










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