声の仕事とスローライフ

ただ今、仕事と趣味との半スローライフ実践中。遠方の知人友人への近況報告と、忘れっぽい自分のためのWeb忘備録です。

儲けすぎた男

2024-10-27 08:41:00 | 映画・ドラマ・読書
図書館のリサイクル本には
たまに、宝物が混じっている。

そんな本に出会った。

安田善次郎の事をテーマに書かれた小説『儲けすぎた男』だ。

安田善次郎は、安田財閥の祖で
オノヨーコさんの曾祖父だけれど、

これまで私が知っていたのはその程度の事で特別、興味のある人物という訳ではなかったが、

この小説に書かれている人物像が真実であるなら、
安田善次郎は、とても魅力的な人物だ。

下級武士の家に生まれ、親の反対を押し切って江戸に出て、
小さな両替商から財閥を築くまでの苦労話を読むと、

真っ当な商売をして財を築くことができたのは、
幕末から明治にけての時代の流れをしっかりと読んでいたことによる…

いわゆる先見の明によるものだ。

時代の波に上手く乗って、とんでもない財を成した人物ではあるが、

残念なことに最後は、国粋主義者に暗殺されてしまう…

安田善次郎を襲った男は自分たちの事業への出資を頼んだが、
それを断られたことに腹を立てて、犯行に及んだのだ。

それも、ある誤解が原因ではないかと著者、渡辺房男氏は記している。

当時の安田善次郎は、大金持ちでありながら、守銭奴でケチだと言われていたらしい…


その言葉を多くの人が信じていた理由は、
誰でもが知っているような社会貢献をしていなかったからだという…

実は、東大安田講堂や日比谷公会堂を寄付したり、
多くの潰れそうな銀行を救ったりしているけれど、
それらを表だった形で行う事はなかったとも書かれている。

自分の行った寄付や善行を人にいうこと自体が、下品であるという考え、

人助けや善行はこっそり行う《陰徳》を貫いた人らしい…

昔の日本人はそうだった…

私の祖母も明治の女だったが、

寄付をどこそこの学校や団体にした、などと誰かに言うのは下品なこと…と良く言っていた。



今の時代、自分の善行をひけらかす日本人がどれだけ多いことか…

《陰徳》という言葉は、もはや死語のようになってしまったけれど、

この言葉は、今のような時代だからこそ大切にしたいと思う…



ところで、安田善次郎が今の時代に生きていたなら、何をしただろうか?

間違いなく言えるのは、
100万円をばら撒いたりはしないという事だ。

では政界進出に関してはどうか…?

この小説には、
東京府議会、今で言う都議会選に担ぎ出され無投票当選したが2年で辞職、

衆議院選にも2度担ぎ出され、
一度は支援者が勝手に届出して当選し、
当選後即辞職届けを提出したらしい…

根っからの経済人だと小説には記されていた。

「有言実行」を選挙の公約に使う政治家とは違って、
安田善次郎の実行した《陰徳》は、無言実行だ。


日本を立て直す?

言葉とはなんと軽いものか…

今回の衆院選の公約で、

『最低時給を1,500円にする』と簡単にいうが、
それが地方の中小、零細企業においては、どれほど難しいことか…わかって言っているのだろうか?
(-。-;

さてと、
選挙に行ってくるかな…

















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