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花に変身するお話し

2024-06-19 21:03:00 | バロック
うちでは紫陽花を育てる場所が無いので諦めていたのに、旧宅に行ってみたら、小さな鉢が鎮座していました。

サマークラッシュという名札がついていました。
マリーゴールド ボナンザ ビーの鉢が隣に。
私はここの庭はノータッチ。
夫がメダカを飼ったり、家の中はクワガタ館。
楽しんでいます。

ギリシャ神話に出てくるというマリーゴールドの花。

水の神クリスティは太陽神アポロンが好きでしたが、アポロンには王女レウトコエという恋人ができます。

嫉妬したクリスティは王女レウトコエの父王に「レウトコエは、アポロンと付き合ってる。」と告げ口しました。

王は怒ってしまい、レウトコエを生き埋めにしました。

クリスティは自分のしたことでレウトコエが殺されてしまったことを悔い、地面に座ったままアポロンを見つめて、9日後、クリスティはマリーゴールドの花になってしまいました。

このマリーゴールドはヘリオトロープや、ひまわりになったという話もあります。

しかし、ひまわりはアメリカ原産。

ヨーロッパに入ってきたのは1510年。
普及したのは17世紀。
太陽神アポロンを今も追いかけて太陽の方を向くというストーリーはいかにもですが…ギリシャ神話ではないかも。

ヘリオトロープ

は紫色の花で、heliostropeとはギリシャ語で「太陽に向かう(heliosが太陽、陽)+(tropeが向く)」という意味があります。

しかし、ヘリオトロープはペルー原産。ヨーロッパに来たのは1757年フランスの園芸家が紹介してから普及しました。

やはりおかしいです。
ところがマリーゴールドもメキシコ原産1492年コロンブス以降、ヨーロッパに入ったと思われます。

しかしここにカレンデュラ、ポットマリーゴールドというキンセンカ(キク科)が登場します。

この花は原産地が地中海沿岸。
古代ギリシャにあるこの花が神話の
クリュティエだったのではないでしょうか。

それが、ヘリオトロープやヒマワリやマリーゴールドなどがヨーロッパに伝わり、栽培されるようになって名前がそれらしいヘリオトロープや、太陽を追うヒマワリや似た花マリーゴールドに置き変わったのではないかと思われます。

こういう変身譚はオペラや物語の主題になってきました。

リュリのオペラ「アティス」もその1つです。

ジャン=バティスト・リュリ(1632 - 1687年)トスカーナ大公国フィレンツェ生まれ、フランス王国パリ没
 
は、フランス王国盛期バロック音楽の作曲家。
フィレンツェの粉挽き職人のもとに生まれ、ほぼ正規の音楽教育を受けないままギターやヴァイオリンを自己流で覚えます。
1652年「王の夜のバレ」に出演すると、ルイ14世に気に入られ、
ルイ14世の宮廷楽長、寵臣として、フランス貴族社会で権勢をほしいままにしました。

元はジョヴァンニ・バッティスタ・ルッリ(Giovanni Battista Lulli)という名でイタリア人でしたが、1661年にフランス国籍を取得しました。

オペラ「アティス」

1689年出版の楽譜
は1676年作曲。台本はキノー。
原作はプーブリウス オィディウス
紀元前43年3月20日 - 紀元後17年 または18年
帝政ローマ帝国時代の詩人

オペラ「アティス」
プロローグでは、時の神とフローラがルイ14世

に敬意を表し、悲劇のミューズであるメルポメネーがオペラの筋書きを提示します。

第一幕
主人公アティスが登場します。
フリギアの王セレニュスのお気に入りのアティスは、女神シベルを讃える祭りの開催を任されています。

サンガリード

がセレニュス王と結婚する日です。が、そこで彼女はアティスへの秘められた愛を告白します。

若い二人は自分たちの立場を嘆きます。
祭りが始まると、女神シベルが現れ、自分の神殿で新しい大司祭を選ぼうと一行を誘います。

第二幕
サンガリードの動揺がセレニュス王に伝わってしまいます。
アティスは王を安心させた後、大司祭に任命されます。

一方、女神シベルは腹心の友に、この若者アティスの魅力に抗し切れなかったことを告白します。

第三幕
アティスの新しい任務のために用意された宮殿。

女神シベルは彼に言い寄ります。
彼が眠っている間に、「快い夢」と「悪い夢」が、女神の愛を受け入れる場合と拒否する場合のメリットとデメリットを彼に伝えます。

彼が目覚めると女神が直接現れます。

女神は、夢が自分の命令で話していたことを彼に伝え、サンガリードを自分の神殿に迎えることを承諾します。

第四幕
サンガリードは、女神がアティスを誘惑することに成功したと考え、腹立ち紛れにセレニュス王との結婚を決意します。
結婚式は準備されます。
しかし、アティスは結婚を祝うことを拒否します。そして、彼は女神シベルから授かった力を使って西風の神(Zephyrs)を呼び寄せ、サンガリードと空中に運び去らせてしまいます。

1676年代台本

第五幕
セレニュス王の訴えを聞いた女神シベルは、アティスとサンガリードが愛し合っていることに気づきます。
女神シベルは復讐のために冥界の精霊を呼び寄せます。
これにより理性を失ったアティスは狂気に駆られてサンガリードを殺してしまいます。



しかし、これを目にして自責の念に駆られた女神シベルは、アティスを哀れんで松の木に変えてしまいます。

西風の神(ゼフィルス)の力を借りて、アティスはサンガリードと自分を運ばせます。